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建築家・菊竹清訓さんは『代謝建築論 か・かた・かたち』という本を発表。建築も都市も生物さながら、代謝し成長していくと説いた。本連載は同著の考えを下敷きに、既存建築物やまちから建物・都市を循環させる手立てを探る。初回は同書の概略を示し、連載の意図を伝える。(編集部/市森知)
連載を通し、循環させる手立てを探る
「建築は代謝する環境の装置である」。この言葉は建築家・菊竹清訓さん(1928~2011年)が1969年に出版した著作「代謝建築論 か・かた・かたち」の中で語っている。同著は建築とデザインについて、菊竹さんが考察した内容がまとめられている。
冒頭の「代謝する装置」について、菊竹さんは①空間装置②生活装置③設備装置が関係することによって、建築が成立すると説いた。家族室を中心とするまとまりをもった「空間装置」が、台所や浴室などの「生活装置」を取り換えながら、家族生活の要求に適応していく。さらに生活装置を自由に利用するためには、「設備装置(設備のネットワーク)」が必要だとも。
菊竹さんの考えが大きく影響したのが、「メタボリズム」という建築運動だ。
中東情勢が新築建築に影響
メタボリズムは生物が細胞を入れ替えながら成長していくように、建築や都市も古くなったところを部分的に入れ替え、新陳代謝を繰り返しながら、時代に合わせて変化・更新されるべきだという考え。60年代、日本から世界に向けて発信された建築運動で、菊竹さんはその運動の中心人物の一人として活躍。数多くの建築家やインダストリアルデザイナーらとともに実践した。
メタボリズムを掲げ建築された建物は、経年劣化などの理由から解体されたものが多いが、この考え方はこれからの建築業界に大切になると考える。
昨今の中東情勢の悪化を背景に、大手メーカーなどが建材や住宅設備の値上げや生産受注の停止を発表。新たに家を建築することが難しくなっていくと予想されるからだ。
過去の実践を未来へ 3段階で建築捉える
値上げや生産停止などがどれほど影響するのか、定かではない。予想が取り越し苦労で終わればいいのだが、既存の建築物などから学べることは多いのではないだろうか。
本連載のサブタイトルである「か・かた・かたち」は、菊竹さんがデザインの認識と実践のプロセスに欠かせない要素として挙げたものだ。実践のプロセスは「か→かた→かたち」、認識は「かたち→かた→か」の順。各語彙の意味を端的に言えば、①「か」が構想、②「かた」が技術、③「かたち」が形態を表している。
つまり、設計のプロセスは「目に見えない構想(か)が、技術(かた)を通して、初めて形(かたち)になる」と言える。
連載では既に設計された建築物などを取り上げ、その「かたち→かた→か」をたどる。過去の実践(建築設計)から未来の実践につながる手がかりを取り上げていく。

かたちの三角構造。菊竹さんは「かたちは生活と機能との関係のなかから生み出されるものであり、かたは空間と機能との間につくりだされるものであり、かは生活と空間とのかかわり合いのなかで考えられるものである」と語っている
菊竹清訓と沖縄国際海洋博覧会

沖縄タイムス社提供
菊竹清訓さんと沖縄の関係は、1975年開催の沖縄国際海洋博覧会に展示された「アクアポリス」だ。海上実験都市として、建造されたアクアポリスを菊竹さんが中心となって、設計した。陸上都市の過密化という当時の時代背景から海上都市の在り方が問われていた。同博覧会が閉幕後、海洋博公園に再整備されたが、93年に老朽化などを理由に閉館。海外での再利用構想が持ち上がったが、最終的には2000年に解体された。
毎週金曜日発行「週刊タイムス住宅新聞」 建築散策 沖縄のか・かた・かたち(1)
第2102号(2026年4月17日発行)より転載