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全国空き家アドバイザー協議会沖縄県名護支部の山入端学さんが、空き家問題の背景や沖縄の現状、具体的な活用方法を解説。今回は名護市で始まった、ふるさと納税を活用した空き家管理サービスの取り組みを紹介する。(文/山入端学 全国空き家アドバイザー協議会 沖縄県名護支部 事務局長)
「実家が空き家になっているが、遠方に住んでいるため様子が分からない」「庭木が伸びて近隣に迷惑をかけていないか心配」。近年、こうした相談が全国的に増えています。総務省の住宅・土地統計調査でも、日本の空き家は年々増加しており、人口減少や相続の増加とともに地域社会の課題となっています。
沖縄本島の北部地域でも状況は同じです。名護市では相続や高齢化、県外への転出などを背景に、所有者が遠方に住んでいる住宅が空き家になるケースが増えています。空き家は適切に管理されていれば問題ありませんが、長期間放置されると建物の劣化や雑草の繁茂、不法侵入などのリスクが高まり、地域の生活環境にも影響を与える可能性があります。実際、空き家は管理されているかどうかで建物の劣化速度が大きく変わります。
名護市の返礼品 登録で新段階へ
こうした背景の中、(一社)全国空き家アドバイザー協議会沖縄県名護支部では、空き家の適正管理を支援するサービス「Yamori」を展開しています。
これは、所有者に代わって空き家を定期巡回し、換気や簡易清掃、雨漏りの確認、庭木や雑草の状況確認、郵便物の回収などを行い、住宅の状態を維持します。空き家は人の出入りがあるだけでも劣化の進行を抑える効果があり、定期的な管理は建物の資産価値を守るうえでも重要な取り組みです。
そして、2026年3月、この取り組みが新たな段階へ進みました。総務省の承認を受け、空き家管理サービス「Yamori」が名護市のふるさと納税返礼品として正式に登録されたのです。
ふるさと納税制度と空き家管理を組み合わせた取り組みは、全国でもまだ多くはありません。通常、ふるさと納税の返礼品は地域の特産品などが中心ですが、名護市では空き家対策という地域課題の解決につながるサービスを返礼品として採用しました。
これにより、名護市にゆかりのある方や、県外に住みながら実家を所有している方などが、寄付を通じて実家の管理を依頼できる仕組みが整いました。遠方に住んでいるため頻繁に帰省できない所有者にとっては安心材料となり、地域にとっても管理されない空き家の発生を抑える効果が期待されます。

全国空き家アドバイザー協議会沖縄県名護支部が名護市で展開する管理サービス「Yamori」(Yamoriホームページから)

「Yamori」は、所有者に代わって空き家を巡回し換気や清掃、庭木の状況確認、郵便物回収などを行う(Yamoriホームページから)
住宅活用へ道筋 地域連携モデル
空き家管理は単に建物を維持するだけではありません。定期巡回の中で建物の状態を把握することで、将来的な利活用の可能性も見えてきます。例えば、賃貸住宅としての活用や売却、移住者向け住宅としての再生など、空き家を地域資源として活用するきっかけになる場合もあります。
人口減少が進む地方都市にとって、既存住宅ストックの活用は重要なテーマです。新しい住宅を建てるだけでなく、今ある住宅をどのように維持し生かしていくかが、これからのまちづくりの大きな課題となっています。
名護市では現在、移住・定住政策や地域活性化の取り組みが進められており、空き家の利活用もその重要な要素の一つです。空き家管理サービス「Yamori」とふるさと納税制度の連携は、行政と民間が協力しながら地域課題を解決していく新しい取り組みといえるでしょう。
遠く離れていても、ふるさとを守ることができる。空き家管理という小さな取り組みが、地域の安全や景観を守り、将来的な住宅活用につながる可能性を持っています。名護市で始まったこの取り組みが、人口減少時代の地域政策の一つのモデルとして北部地域へ広がっていくことが期待されています。
執筆者プロフィル

やまのは・まなぶ/1969年生まれ、名護市在住。2023年、(一社)全国空き家アドバイザー協議会沖縄県名護支部を設立し事務局長就任。(同)城コーポレーション代表社員。沖縄県宅地建物取引業協会会員。北部地区宅建業者会副会長
お問い合わせ
全国空き家アドバイザー協議会 沖縄県名護支部
電話 0980(43)1613
↓画像をクリックすると、「Yamori」のホームページに移動します
毎週金曜日発行「週刊タイムス住宅新聞」どうするその空き家 あなたの実家も!?(25)
第2100号(2026年4月3日発行)より転載
