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アーティスト・栗田大輝の個展は「揺れながら祈る」というタイトルだった。薄塗りで透明感のある画面、内省的なモチーフ。“揺れながら祈る”という言葉は心に響いた。(文/本村ひろみ)
対象に小さなエネルギーを注ぐ
「今回の展示は、僕が揺れ動きながらも小さなエネルギーを送ってきた作品群です。一点でも、皆さまの心の中の光や揺らぎと共鳴することができれば幸いです」と展示会のステートメントに記している。対象に小さなエネルギー(願いや希望、愛など)を注ぐイメージを彼は祈りと呼んでいるそうだ。

「最後の灯り」1170ミリ×910ミリ
作品「最後の灯り」は道ジュネーの様子。力強いシーンではなく、描いたのは深夜3時、街灯と月明かりに照らし出されたエイサーの集団は最後の演舞場所に向かっている。一番後ろを歩く大太鼓の足取りは重そうだ。「場所、時間を超えて祖先を供養して周る道ジュネー。古くから続く文化に想(おも)いを馳(は)せながら自分と他者の境界が溶ける瞬間を描いた」と栗田が語るこの作品からは、汗ばむ夏の夜の感触とその時の気分も伝わってくる。
異なる時間と場所を重ねる
「景色」は新麻紙と雁皮紙(がんぴし)(どちらも和紙の種類の一つ)を使い分け、1人暮らしのベランダと実家のベランダの景色を重ね合わせた作品。素材を使い分け輪郭がやわらぐことで記憶の揺らぎを表現しているそうだ。異なる時間と場所の景色を重ね、ひとつの空間に描くことによって時の重なりを表現している。

「景色」 1475ミリ×1930ミリ
現在学部生の彼が、これから祈りのモチーフに何を選びどのような素材を扱うのか。新しい感性で表現の幅をますます広げてほしい。

「支え木」 300ミリ×225ミリ

「ばらばら」 655ミリ×910ミリ

「貴方が花になった日」 366ミリ×515ミリ
作家近況
栗田大輝(くりただいき)
展示会情報はインスタグラムで。
https://www.instagram.com/daiki_kurita/
執筆者プロフィル

もとむら・ひろみ/那覇市出身。清泉女子大学卒業。沖縄県立芸術大学造形芸術研究科修了。ラジオ沖縄「GO! GO! ダウンタウン国際通り発」「We love yuming2」「還暦ラジオ」でパーソナリティーを務める
毎週金曜日発行「週刊タイムス住宅新聞」アートを持ち帰ろう(63)
第2116号(2026年7月24日発行)より転載