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沖縄県内最大規模の賃貸物件管理戸数を抱える中部興産のグループ会社・興産アメニティは、高齢者の物件探しをサポートする「R65不動産沖縄」事業を行っている。同事業を担当する久田尚志さんが県内の現状や課題について執筆する。(文/久田尚志 興産アメニティ株式会社「R65不動産沖縄」担当)
長く住んでくれる高齢者
賃貸物件への申込書が2通あります。「68歳、単身、年金収入」と「45歳、単身、会社員」。空室が1室なら、どちらに貸しますか。
多くのオーナーは45歳を選ぶでしょう。高齢者だからというより、68歳の申込書からは「どんな暮らしをしているのか」「何かあったとき誰が対応するのか」が見えにくいからだと思います。
一方で、45歳の方も転職、転勤、結婚、住宅購入など暮らしが変わる可能性はあります。日本賃貸住宅管理協会の調査では、単身世帯の平均居住期間は3年3カ月。それに比べ、65歳以上の入居者は6割以上が6年以上住み続けるというデータがあります(同協会、2021年6月)。年齢で入居期間が決まるわけではありませんが、長く住んでいただければ、原状回復や募集の費用、管理会社の手間、空室期間を減らせる可能性があります。
それでも、高齢の単身者の受け入れをためらうのは、「部屋で何かあったら誰が気づくのか」「亡くなられた場合、契約をどうするのか」「残された荷物は誰が片付けるのか」「相続人が見つからなかったら誰が動くのか」といった「もしもの不安」があるからではないでしょうか。
弊社が全戸に見守り機器を設置している物件の過去2年間の対応状況を調べました。高齢の入居者について、管理会社への連絡が必要になったのは3件で、いずれも本人と連絡が取れて大きな出来事には至りませんでした。
一方、若い方でも出張や深夜の帰宅、体調不良などで見守り機器が頻繁に反応する方がいました。
見守りは暮らしの変化を捉え、「いつもと違う」を誰かが見つける仕組みです。孤独死は高齢者と結びつけられがちですが、県住環境リスタート協会の比嘉計代表理事は「特殊清掃現場の64%が孤独死・孤立死で、40〜50代の現役世代も含まれる」と報告しています。国土交通省は2021年、人の死の告知に関するガイドラインを公表しました。自然死や日常生活上の不慮の死について特殊清掃などがなければ原則、告知しなくてもよいとしています。発見が早ければ家賃を下げたり、募集が長引いたりする可能性も低くなります。

見守り機器や保険で対策
もう一つ、オーナーが心配するのは、亡くなられた後の問題です。弊社は2026年8月から、居住支援法人として、残置物の処理や死後事務を引き受けられるようになりました。頼れる身内がいない単身の方などが対象です。本人が元気なうちに、誰が契約を終わらせ、誰が荷物を片付けるのかを決めておく仕組みです。
見守りや保険などの備えは、不安を減らし、長く安定して住んでいただける賃貸経営につながると考えています。機器の導入費と1年分の利用料を足しても5万円弱。この費用を自身で負担してでも部屋を借りたいという高齢の方は少なくありません。オーナーが負担する場合でも、部屋がひと月空く損失と変わらない金額です。
当連載を始めて1年がたち、県内の居住支援に動く自治体や団体、相談窓口は少しずつ増えています。それでも「内見すらさせてもらえなかった」という相談は今も届きます。住まいの問題は社会保障だけでは解決できません。オーナー、管理会社、保証会社、居住支援法人、行政などがそれぞれの立場で少しずつ不安を引き受ける。そうすれば「高齢だから貸せない」部屋を「備えがあるから貸せる」部屋に変えていけるのではないでしょうか。
執筆者プロフィル

くだなおし・興産アメニティ「R65不動産沖縄」担当。
問い合わせ
電話 098(882)1717
https://r65.kosanamenity.com/
毎週金曜日発行「週刊タイムス住宅新聞」住まいでつながる未来の安心 共助で支える、高齢社会の賃貸経営(13)
第2125号(2026年9月25日発行)より転載