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2016年8月26日更新

鉄骨造編① 種類と特徴|構造のはなし[5]

住宅の耐久性はもちろん、間取りやデザイン、コストやリフォームのしやすさにも関わる構造体について、専門家が分かりやすく解説。今回からは「鉄骨造」を取り上げる。今回は種類と特徴について。沖縄県内の住宅建築に多く採用されている「軽量鉄骨造プレハブ工法」と「重量鉄骨造ラーメン工法」を中心に紹介する。

鋼材で広い室内空間を実現

鉄骨造の建築物にはさまざまな工法がありますが、ここでは、県内の住宅建築に多く採用されている2種類の工法を紹介します。それは、「軽量鉄骨造プレハブ工法」と「重量鉄骨造ラーメン工法」です。
建物を支える柱や梁に使用される鋼材には、厚さ6ミリ未満の軽量鉄骨、厚さ6ミリ以上の重量鉄骨があります。鋼材の形は角形やH形などがあり、それらを組み合わせて構造体を造ります=下写真。

H型鋼は建物の梁として使用し、角形鋼は建物の柱となる(写真はすべてシンケンハウス提供)​
 

品質安定プレハブ工法
「プレハブ工法」とは、建物の材料を工場で造り、建築現場で組み立てる工法を指します。「pre(事前に)fabrication(作る)」に由来していて、プレファブ工法、プレファブリケーションとも呼ばれています。プレハブ工法の特徴は、まず品質が安定していることです。工場生産で建築過程のほとんどをシステム化しているため、鋼材を組む職人の技術や熟練度による影響が小さく、その品質はかなり安定していると言えます。
二つめは、軟弱地盤に有利に建てられる点。重量鉄骨造と比べ建物の自重が軽いため、軟弱な地盤への建築であっても杭工事や地盤改良が必要になるケースは少ないです。必要な場合も、費用が安く済みます。
三つめは工期が短いこと。建築現場での作業は「組み立てる」ことが中心なので、重量鉄骨造に比べて工期は短縮されます。着工して3、4カ月で完成します。

大空間の重量鉄骨造
「ラーメン」とはドイツ語で「額縁」「枠」という意味です。柱と梁を完全に固定(剛接合=用語解説参照)し、強靱な「枠」を造ることで壁面の変形をとどめ、筋交いを設けることなく建物を支えることができます。
重量鉄骨造ラーメン工法の特徴はまず、大空間が取れることです。柱間のスパンを広く取ることができるため、大きな空間造りに柔軟に対応できます。柱のない広い空間が生まれるため、自由度の高いレイアウトが可能に。それは、可変性に優れているということにもつながります。例えば、家族が増えれば仕切って個室を増やし、家族が減れば大きな空間に戻す。リフォームがしやすい造りだと言えます。
二つめは大きな窓が作れること。外壁の開口部(建物の窓)周辺に筋交いが必要ないため、より広い開口部を設けることが可能です。庭に向かって大きく開かれた窓のある広々とした空間など、開放感あふれる住まいを造ることができます。



重量鉄骨ラーメン構造により生まれた大空間(写真上)と大開口(写真下)で、明るく開放的な住まいを実現。大開口からこぼれる光と風がやすらぎの時間と空間を演出する

※用語解説
剛接合/梁と柱の接合部が、建物の揺れや荷重によって両材の角度が変わらないように固定すること


次回は、鉄骨造住宅のメリットについてお話します。



執 筆 者
しんざと・しょうた/1979年、うるま市出身。2004年、鉄骨造を専門に手掛ける新里総業㈱(現、シンケンハウス㈱)に入社。アフターサービス部門、営業を経て11年に代表取締役に就任した。

 

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毎週金曜日発行・週刊タイムス住宅新聞 第1599号・2016年8月26日紙面から掲載

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