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2020年8月28日更新

子への墓の継承 やや消極的|気になるコト調べます![63]

(公財)沖縄県メモリアル整備協会は、県民を対象に墓の継承や在り方についてのアンケートを実施。ウェブ調査と識名地区参拝者調査から計746件の回答を得た。その結果、自分が墓を継承する意向は約5割の人がある一方で、子世代へ継承させる意向は約4割とやや低めに。墓の在り方は伝統的な墓以外に、永代供養や公営墓地など、ニーズは多様化している。相続登記されていない可能性のある墓地も高い割合を占め、少子化や家族形態の変化に伴い、無縁化に拍車がかかると懸念した。

沖縄県メモリアル整備協会が墓事情を調査 
無縁化増など懸念


 約半数は自分が継承する意向示す 

同アンケートは、広く意見を集めるために県内在住者と県出身県外在住者を対象としたウェブ調査(3月実施)と、個人墓を所有している人が多いと想定される識名地区への参拝者を対象とした調査(4~5月実施)で行われ、ウェブから400件、参拝者から346件、計746件の回答を得た。


※同協会調査報告書より。参拝者調査の(n)は有効回答数を示す

墓の継承について自分自身の意向=グラフ1=をみてみると、継承する意向を示す人=オレンジ囲み部分=はウェブ調査で39.8%、参拝者調査で75.6%、回答全体(割合を票数に換算して算出)でみると約5割を占めた。継承しない意向を示す人=青囲み部分=は回答全体で約0.7割(ウェブ調査6.3%、参拝者調査8.4%)となった。

一方、子どもへの継承についての意向=グラフ2=では、継承させる意向を示す人は約4割(ウェブ調査29.3%、参拝者調査で66.4%)。継承させない意向を示す人は約0.9割(ウェブ調査7.3%、参拝者調査10.8%)で、自身の継承に関する意向よりもやや消極的な結果となった。また、ウェブ調査では「わからない」が55.8%と高く、参拝者調査でも30.3%あり、同協会は「墓の継承に関わる問題が潜在することがうかがえる」と話す。




 永代供養や公営墓地などニーズ多様化 

墓を建てる際に重視した(する)ことをみると、代々続いている墓地、自宅からの距離などの回答が多かった。一方、継承者がいなくても安心して利用できる墓や永代供養してくれることにも関心を持つ人が約1割(ウェブ調査11.5%、参拝者調査11.2%)いることが分かった。自身が購入する墓のタイプは伝統的な墓が約3割(ウェブ調査28.6%、参拝者調査31.2%)。一方、公益法人や寺が運営し永代供養してくれる納骨堂や墓、行政が運営する納骨堂など、伝統的な墓以外の希望が参拝者調査で約7割を占め、墓の在り方へのニーズは多岐にわたっている。

墓の所有者は自分自身や親に次いで、門中(親族共同)が約2割(ウェブ調査26.0%、参拝者調査14.7%)。その墓地の所有者では門中の割合が高く、約2割(ウェブ調査21.0%、参拝者調査29.5%)を占めた。さらにウェブ調査では墓地の所有者が「わからない」との回答が24.0%となった。

これらの結果より、同協会は「個人墓の継承問題に対して将来に不安を残す結果に。特に門中の場合、相続後の登記がされていない可能性も考えられ、今後は継承されないまま無縁化する墓も増えると懸念される。また、少子化の進展に伴い、墓の改葬や移転、墓じまいをするケースも増えると考えられる」と話した。

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毎週金曜日発行・週刊タイムス住宅新聞
第1808号・2020年8月28日紙面から掲載

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