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2020年6月5日更新

防災福祉リーダー育成事業(2)|みんなの防災計画[14]

文・長堂政美
前回(1791号、5月1日発行)に引き続き、昨年9月~今年1月にかけて、嘉手納高校で福祉を学ぶ生徒らが取り組んだ「防災福祉リーダー育成事業」について。今回は、実際の授業内容や生徒らの反応などを紹介する。

高校生が防災福祉の要に



嘉手納町に防災マップを贈呈する嘉手納高の生徒ら。活用方法などについても生徒たちが説明した

障がい者の立場理解した支援
指導通して自信に
嘉手納高校での「防災福祉リーダー育成事業」では、座学と実践を含めて全16回の授業が実施されました。
講師を務めるにあたって心掛けたのは、手法を学べば自分たちでも防災リーダーとして地域に指導し、貢献できると意識付けさせること。
そのため、はじめは防災グッズの作り方など、高校生たちが指導しやすそうなことからスタート。その結果、身近な課題として「防災・減災」を受け入れてもらえました。

授業の中では、さすが福祉系の学生と思える光景もしばしば。例えば、障がい者の避難誘導の方法を学んだとき(第11回)には、高校生が視覚障がい者に声をかけてから、自分の腕をつかませて誘導していました。多くの人の場合、急に手を引っ張ってしまいがちなのですが、視覚障がい者からすると、この行為は恐怖を感じるそうです。
また、避難所のあり方を考える際(第10回)には、「精神障がい者も含め、適切な医療体制が整うまでは、大きな空間ではなく、施設と同じような別室に家族といてもらおう」といった意見が出るなど、障がい者の立場を理解した思いやりを感じました。
最後には、学んだことを地域や小学校で教えたり、防災マップの作成方法などを嘉手納町長らに説明。指導者として周りに伝えられたことで、必要とされているという自信につながった様子でした。
 
事業を終えた生徒からは、「防災は避難訓練のイメージだけだったけど、地域の防災は自分たちで考えていかなければならないと分かった」「避難所における障がい者の過ごし方やトイレなどに配慮が必要」などの声も挙がりました。
彼らはきっと、要配慮者など災害弱者に重点を置いた地域防災の要となってくれることでしょう。




避難所運営のあり方について、ゲームを通しながら地域住民と考えた

■前回の記事はコチラ​


ながどう・まさみ/NPO法人防災サポート沖縄理事長、元沖縄市消防長
 

毎週金曜日発行・週刊タイムス住宅新聞
第1796号・2020年6月5日紙面から掲載

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