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2015年7月10日更新

補修の後回しで240万円増|メンテでお得 すまい長持ち[4]

前回(6月12日公開)、自宅の劣化具合を調べる「住宅点検」の事例として紹介した、築4年の伊波盛剛さん(37)宅=南城市。点検をした二級建築士の新里尚次郎さん(37)は、今後のメンテナンスの参考にしてほしいと長期修繕計画を作った。メンテナンスをしない場合、30年間では約240万円の負担増となった。

 築4年の伊波さん宅② 

​30年間の修繕計画作る


伊波さん宅は、これまで外壁の洗浄をこまめにしてきたため、点検の結果は「異常なし」だった。建築士の新里さんは、同宅が30年間いい状態が保てるよう、分譲マンションで言うところの「長期修繕計画」の案を作った(下表)。

今までどおり、外壁の洗浄をすることを前提に、案では、躯体を守るのに必要な補修費として、築10年時点で約160万円を計上(下表、黄色部分)。その中身は、外壁塗装や屋上の防水塗装、サッシ周りのシーリングの交換など。これらの補修を挙げたのは「強い日差しの県内では、塗装の寿命は長くてもせいぜい10年」という新里さんの見立てからだ。

念のため、エアコン4台分の交換費として30万円を計上しているが、使い方によっては築10年以降にずれ、費用が予想より掛からない可能性もある。基本的には、躯体の補修費(160万円)を10年ごとに繰り返し、築20年と25年には、水回り設備の交換費などが加わる想定になっている。


「補修なし」と比較

一方、「築4年までメンテナンスをしてこなかった場合」の修繕計画も作り、比べてみた。すると、現状(メンテナンスする場合)では築10年に行う予定の外壁塗装などの補修が、築7年に前倒しになる=下表。

補修しても放っておけば、7年ごとに塗り替えが必要になり、回数が増える。放置した分、塗装が傷み、塗り替えのサイクルが短くなるためだ。また、雨漏りも引き起こし、内装材を傷ませることにもなりかねない。築20~21年時点では、高額な水回り設備の交換時期が続き、負担は大きくなる。

新里さんは「愛着を持って手入れしていけば、補修費は節約できる。伊波さん宅がそう。今からでも、自分でできる手入れを始めてもらえたら」と話した。



メンテの有無による費用の比較(試算)

築4年の伊波さん宅をモデルに、今まで通りメンテナンスする場合と、放置してきた場合の補修時期と費用を比較。放置した場合の方が、補修の回数が多くなっているのが分かる/表
 

この人に聞きました​

新里尚次郎(しんざと・しょうじろう)
1977年、浦添市生まれ。アーキテクトラボ.ハローム代表。二級建築士。建物の劣化診断や耐震基準適合証明書の発行、設備の定期調査を行う

 

編 集/我那覇宗貴
毎週金曜日発行・週刊タイムス住宅新聞 「メンテでお得 すまい長持ち」<4>」第1540号・2015年7月10日紙面から掲載

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