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2019年5月17日更新

見せ場作り印象的に|Arms DESIGN(アームスデザイン)

[こだわリノベ・住まい+アトリエに 全面改修・築20年余・一戸建て・混構造]築20年余の中古住宅をリノベーションしたKさん(43)宅は、床から立ち上がったようなキッチンやビンテージカップの飾り棚、ピロティを利用したアトリエなど“見せ場”が随所に。既存を生かしてコストバランスを図りつつ、夫婦が好きな雑貨や古家具がなじむ、印象的な空間になった。


2階玄関側から見た室内。床はあえて色の違うフローリング調のPVCタイルを敷き詰め、キッチンまで覆うことで、キッチンの存在感をアップ。物があってもまとまり、遊び心と温かみを感じさせる。ダイニングテーブルはイスのフレームに板を張ったKさんのお手製
▼リノベーション前(2階)


「古さは味」手加え自分らしく

改修前のお悩み
「バイク仲間が集まれ、子どもたちが伸び伸び暮らせる家に」

▼リノベーション前(2階)

           

2階の住居部分。壁付けされていたキッチンはアイランド型に変え、和室二間を取り払って家の中央に設置。欄間は「建物の歴史」とあえて残したことも、キッチンを際立たせることにつながっている。目隠し壁兼飾り棚には照明も設置

1階ピロティの柱や床、バイクに描かれた絵は神谷さんのもの。室内にはビンテージのマグカップが飾られ、使い込まれた木のイスが並ぶ。Kさんは「古い物やモノづくりが好きで、ペンキのハゲや傷も味。友だちも器用なやつが多くコンテナを家にして住んでいるのを見ていたら、新築だけが家じゃないなと」、リノベでの取得を決めていた。

家づくりは昔から憧れていて「住みたい家の形や間取りを自分で描いていた」ほど。休みのたびに依頼先と物件を探し歩いた。そんな折、バイク仲間でもあり、「設計した家を見てドハマリした」という建築士に紹介されたのが今の家。「『この人に』と思っていた建築士に、自分の絵そっくりの家を紹介されて。しかも、それが普段から気になっていた物件だったのには驚いた」。いくつもの縁が家づくりを後押しした。

雨の日も楽しめる
「家族の顔が見え、仲間も集まれるように」と、4LDKだった2階は和室二間を取り払ってLDKを広く。1階には、夫婦共通の趣味であるバイクのガレージ兼Kさんのアトリエがある。

目を引くのは、フローリングと同じPVCタイルで彩られた対面式キッチンと、カップが並ぶ飾り棚。「料理をしながら子どもたちが見えるし、後ろの収納も扉がないから出し入れしやすい」と夫人。飾り棚は水回りの目隠しにも重宝する。家族の手製も多く、靴箱は元々あったベニヤのそれに塗装、床の間のKさん顔負けの絵は長男(13)によるものだ。

夫妻好みのアメリカンカジュアルなインテリアに、味のある逸品がセンス良くなじむ家は、温かみいっぱい。「ピロティで子どもたちと遊べるし、家族や仲間とバーベキューもできる。春夏秋冬、雨の日も楽しめて最高!」と笑った。

▼リノベーション前(1階)

            


1階は、既存の壁で囲まれた部分=左写真奥=に木扉を設置してガレージ兼アトリエに。取っ手にはオートバイのハンドルを加工して再利用した。入り口土間に絵を描き、古い雑貨類を飾り付けた空間は、さながら“男の遊び場”

施主・Kさんに聞いた物件購入の決め手
欲しかったのはピロティ付きの2階建てでワンルーム的な狭小住宅。あちこち中古住宅を見て回ったけど、夫婦で納得できる物件が見つからなかった。そんな時、紹介されたのが今の家。実は前の家の近くで立地も良く、形や大きさもイメージそのもので、ジョギングの道すがら「自分だったらこう使うのになぁ」といつも見ていた物件だった。建物からの購入だったので改修にかけられる予算は限られたけれど、以前の持ち主が外壁を防水塗装してくれていたので助かった。建築士と施工業者にも感謝。同じバイク乗りで感覚が近いのか、ほかでは伝わらなかったイメージを共有でき、仕上がりは最高!

 

機能×デザイン効果的に

Kさん宅リノベのカギ
4LDKを2LDKに変更しオープンに。設備以外は既存を活用。アイランドキッチンや目隠し壁は、見た目にも楽しめるよう工夫した

リノベーションを任されたアームスの城間聡さんと西村修さんは「築年数は20年以上たっていたが躯体は問題なかった」と説明。限られた予算の中で、住宅部分を改修するだけでなくガレージも新設するにあたり、できる限り既存を活用した。「床はきしみがある部分のみ補修し、上から接着剤要らずのPVCタイルを敷設。壁と天井は広く明るく見える白で塗装し、サッシはクリーニングして網戸を張り替えた」。地面がむき出しだった1階ピロティはコンクリート土間に。「外階段側の壁で囲われた部分に木扉を付け、ガレージにした」

第一に考えたのは、生活動線と来客時への配慮。「和室二間を取り払い、壁付けだったキッチンはアイランドに変えてオープンに。外にあった洗濯機置き場は浴室隣に移して扉をつけたが、そのままではリビングから水回りの入り口が丸見えで、人が集まった際、トイレや浴室に行きづらかった」

そこで提案したのが、目隠し壁兼飾り棚。それまでは、しまいっ放しだったというビンテージカップがズラリと並ぶさまは圧巻。キッチンも中央に据え、床と同じタイルで覆い、存在感を際立たせている。必要な機能を効果的にデザインすることで「見せ場」とし、印象的な空間に仕上げた。

「経年変化が楽しめる材選び」も注目だ。造り付けた棚類やカウンター、転落防止の手すりなどには杉の足場板を利用。「安価で手に入れやすく加工しやすい。ということは傷もつきやすいが、それが家族の歴史や家の味になる」と話した。



和室二間を取り払って設けたアイランドキッチン。床と同じPVCタイルを張り付けたことで、まるで床から立ち上がっているよう



リビングから見た飾り棚。高さはあるものの、上部に隙間が設けられており圧迫感はない。裏手が水回り入り口


▼リノベーション前(2階)

         

玄関の靴箱はKさんが塗装。ステンシルであしらわれた英字と数字にも遊び心が。「K285(くつばこ)」、下列は家族の名前の頭文字

[DATA]
家族構成 :夫婦、子ども2人
躯体構造 :鉄骨造+鉄筋コンクリート造
年  数 :20年以上
2階床面積:102平方メートル(約30.85坪)
工  期 :約2カ月
設  計 :Arms  DESIGN(アームスデザイン) 城間聡、西村修
施      工:創作室ZEUS(ゼウス)
住 設 工 事:(有)沖縄タカラ住設



[問い合わせ先]
Arms  DESIGN(アームスデザイン)
098-988-4242
http://www.arms-okinawa.com


撮影/ララフィルム・泉公 編集/徳正美
毎週金曜日発行・週刊タイムス住宅新聞
第1741号2019年5月17日紙面から掲載

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