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2015年6月12日更新

鉄骨造で軽やかに 好きな黒引き立て|sngDesign(エス・エヌジー・デザイン)

「家を建てるなら、硬い印象の鉄筋コンクリート造ではなく、軽やかな感じの建物にしたかった」と話すGさん夫妻。住まいは鉄骨造、3階建て。外壁の一部にガルバリウム鋼板を張ったことで、2階部分が浮かび上がって見えるデザインは、軽快で爽やかな印象だ。

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広さより居心地を優先

Gさん宅(家族3人)自由設計 鉄骨造


2階、LDK。インテリアは夫婦が好きな「黒」を基調にコーディネート。手前右側が黒い畳を敷いた和室になっている。ダイニングのセブンチェアは1脚ずつ色を変え、アクセントに

空間にメリハリ
沖縄本島中部の住宅地に建つGさん宅。1階に駐車場と玄関、倉庫、2階にLDKと和室、3階に個室を配し、公私を階層で分けたシンプルな構成だ。「限られた予算内に、必要な機能をギュッと詰め込んでもらった」とGさん。
「広さより、家族で過ごす空間を居心地良く」との思いから、生活の中心となる2階のインテリアにこだわった。床や家具などは、夫妻が好きな「黒」や「ウォルナット」を基調とした落ち着きのある雰囲気に。一方、1階と3階は、鉄骨造の構造体をあらわにした軽快な造りでメリハリをつけた。
柱、壁などの構造体をはじめ、窓や階段など、全体に厚みを感じさせない、鉄骨造ならではのすっきりとしたラインが引き立つGさん宅。「鉄骨の無骨な感じが気に入っています」。 設計の最初の段階から、取り入れているテーブルやイス、ソファなどを考慮し、内装の色、質感など細かく決めて、バランスを整えていったという。

必要を厳選し住み良く
1年がかりで土地を購入し、設計は構造から住宅デザインを提案する建築士に依頼。いよいよ打ち合わせという段階で、「希望を書き出したら、とうてい予算に収まりきらなかった」と苦笑するGさん。
建築士から構造や素材使いなど、それぞれ長所も短所も細かく聞きながら優先順位をつけて、譲れないところだけを残して出来上がったのが、この住まい。「ものすごく考えました。だからかな、こうしておけばと思うことはないんです」。
新居で暮らすようになってからの一番の変化は、団らんの時間。以前はテレビを見てばかりの生活だったが「家族で食卓を囲む時間が増えました。大きいダイニングテーブルにして良かった。家事も効率的にこなせる造りでストレスフリー」と笑う夫人。
幸せを感じるのは畳間で寝転んだり、外から帰って来る時。「家の明かりにホッとする」。
暮らしになじむ住まいで生活リズムがゆっくり。気持ちにゆとりが生まれたよう。 


2階、ダイニング側からLDKを見る。大きめのダイニングテーブルを設けたことでテーブルを囲む時間も増えた


1階、陽光が入る広々とした明るい玄関土間。隣にはサーフィンボードなどをざっくり収められる倉庫がある


四つの箱を並べ重ねたような外観。1階左手の玄関や右奥の倉庫は、透明感のある素材使いやハイサイドライト(上部の横長窓)を設けることで2階部分を強調

 

ここがポイント
箱重ねスマートに 鉄骨らしさ生かす

軽やかであたたかみも感じられるGさん宅。設計に際しGさん夫妻が建築士に伝えた主な要望は、「すっきりしたデザイン」「荷物が多いので大きめの倉庫」「黒色をベースとするインテリア」「階段がどこからでも眺められるように」などだった。
これらの希望と予算、敷地の条件などから、建築士が導き出したのは、大きさの異なる4つの箱を重ねたような空間。「鉄骨の骨組みが美しく見えるバランス、黒のインテリアが引き立つ空間であることに細心の注意を払いました」と建築士の末松信吾さん。
黒っぽい床や家具、木目が重たい印象にならないよう壁と天井は白に統一し、ドアや壁の一部にビビッドな赤や青を取り入れてアクセントを添えた。
明るさや広がりを感じさせる工夫が、階段とキッチンを仕切る薄い壁の一部に取り入れたガラスや、階段の手すりや踏み板の薄さ。極力細く、薄くすることで視線を抜けやすくするとともに、空間を軽やかに見せる効果も得た。
さらに、壁には外断熱、屋上には断熱塗料を施して暑さ対策も施した。
鉄骨は軽量で強度があり、自由度の高いデザインが可能。また、一般的には外断熱を施すことが多く、エアコンの効率が良い点も特徴だ。「鉄骨造ならではの軽快な外観、調和の取れたインテリアに仕上がったのではないでしょうか」と末松さん。


2階のキッチン側から階段を見る。踏み板や手すりなど軽やかなデザインで、上下階の様子が見える


3階の寝室。畳は縁飾りのデザインまで黒に統一。天井部分の白い鉄板とのコントラストがきいた個性的な空間になった。


3階、書庫も床や棚は黒に統一。「窓から海を眺めることができて、のんびり落ち着ける」とGさん


Gさん宅の設計を担当した末松信吾さん(右)と比嘉夏子さん

[DATA]
家族構成:夫婦、子ども1人
敷地面積:165.31㎡(約50坪)
1階床面積:49.7㎡(約15坪) 2階床面積:63.9㎡(約19.3坪) 3階床面積:49.7㎡(約15坪)
建ぺい率:40.16%(許容50%) 容積率:98.78%(許容150%)
用途地域:第一種低層住居専用地域
躯体構造:鉄骨造
設計・構造:sng Design(エス・エヌジー・デザイン) 末松信吾、比嘉夏子
施 工:(有)友建産業
電 気:(株)大幸電設 伊良波光雄
水 道:(有)共和設備 松山 豊

[設計・問い合わせ先]
sngDesign (エス・エヌジー・デザイン)
0980-51-0322
http:/su‐ma‐i.com
写 真/高野生優・フォトアートたかの撮影
編 集/週刊タイムス住宅新聞編集部
毎週金曜日発行・週刊タイムス住宅新聞 第1536号・2015年6月12日紙面から掲載

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