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2016年10月7日更新

庭囲み3世代賑やか|沖縄家作人(やーつくやー)ネット

沖縄本島中部、浦添の区画整理地にHさん親子が建てたのは、庭を挟んで向かい合う平屋の2世帯だ。大きな庭とバーベキューテラスは両世帯で共有。3世代の賑やかな声が響き渡っている。

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向かい合う平屋の2世帯 休日はデッキで朝ごはん

Hさん宅 RC造/家族7人

玄関ポーチ側から見たHさん宅。正面のバーベキューテラスは親世帯(右)と子世帯(左)をつなぐ交流の場。デッキを通じて素足で行き来できる。


親世帯はリビング別
ボール遊びやフリスビー、かけっこと、広い芝庭は3人の孫たちの格好の遊び場。その声に誘われるように、両世帯をつなぐバーベキューテラスへと、みんなが集まってくる。「休日の朝は長男家族もここで一緒に朝ごはん」と目を細めるHさん夫妻。その楽しげな姿に、長男も「本当に2世帯にして良かったと思う。両親の様子も分かるし、共働きの私たちも何かと助けてもらってます」とうなずく。
庭を挟んで向かい合って建つ両世帯だが、家の造りはそれぞれ違う。長男家族が住む子世帯は、「3人の子どもたちに目が届く造り」。対面キッチンのあるLDKを中心に、和室、子ども室まで普段は開けっ放しで広々と使っている。
Hさん夫妻が住む親世帯は、来客が多くても落ち着けるようあえてリビングは別室にし、ダイニングとキッチンは横並びに。「調理は集中してやりたいのでキッチンは半クローズにしてもらいました。対面式に比べて動線も短いのでお料理もサッと出せる。水回りと行き来しやすいのもいいですね」と家事がはかどる造りに夫人も大満足だ。

コンペで依頼先選び
敷地は夫妻の家が建っていた場所で、区画整理を機に家づくりを本格化。依頼先選びは、「複数社によるコンペ方式が斬新だった」(Hさん)システムを活用。柔軟な提案力、担当者の人柄が決め手になった。
引っ越して2カ月がたった現在、「孫をみんなで見守れるのがいい。にぎやかになりましたね」と夫人。バーベキューテラスに面した擁壁を花や緑で彩ったり、裏手の菜園で野菜づくりに精を出したり、親戚や友人らとのバーベキューも予定するなど、計画は目白押し。「当初は妻と2人小さな家にと考えていましたが、せっかくなら人生楽しみたい。最後のライフステージを過ごすのにふさわしい家がつくれたかな」とHさんは顔をほころばせた。


珪藻土の壁に木が映える親世帯のリビング。一部は勾配屋根を生かしたつり天井にして高さを抑え、落ち着きを演出。裏(左手)には20坪の菜園も


子世帯リビング。普段は写真のように開け放って使用。「和室、子ども室まで見渡せ広々」と長男。内装は白でまとめ、すっきりと


外観。向かって右手が親世帯、左が子世帯。屋根はHさん希望の赤瓦に
 

ここがポイント
居間と玄関ずらし程よく見守り合う

Hさん宅は区画整理地の一角。真向かいに高層の建物が建つ心配があり、裏手は最大4メートル以上の高低差がある。設計者の前里敬さんは「幸い広さがあったことから、南に親世帯、北に子世帯を置き向かい合わせにすることで、外からの視線を回避しつつ、庭を介してつながりが持てる造りにした」と説明する。
ポイントになったのは、2世帯間でいかにプライバシーを確保しつつ交流を促すか。
そこで両世帯のリビング、玄関はずらして配置。「これにより、互いの様子は伝わりつつも視線がぶつかり過ぎることがない。程よい距離で見守り合える造りになった」。交流の場として大活躍するのが庭とバーベキューテラス。「テラスはデッキでつなぐことで素足で行き来でき、集いやすく。想像以上に上手に使いこなしてくれている」と喜ぶ。
またHさん夫妻にとっては「終の棲家」となることから「居心地の良い空間づくりに心を砕いた」とも。バリアフリーで将来に備えるだけでなく、植物が好きな夫妻のために芝庭や植栽スペースは広めに設け、要望のあった菜園は管理しやすいよう親世帯の裏手に配置。収納は両世帯とも夫人が中心になって計画。持ち物や使い方を細かく打ち合わせし、使い勝手良く収めた。


子世帯側から見たバーベキューテラス。右奥は親世帯のダイニング、キッチンへとつながっており、配膳や片付けも便利。左奥の擁壁には、色とりどりの季節の草花をつり下げ、圧迫感を軽減


親世帯のダイニング。左手壁の一部は木目調のクロスで仕上げ、一部をくり抜いて孫の写真を飾るスペースに。正面奥はキッチン


子世帯の廊下兼収納スペース。長男夫婦の希望で市販の収納を活用できるよう棚の高さや幅を細かく調整。扉をなくし出し入れしやすく。棚の両側からキッチンへ行き来できるので家事もスムーズ


子世帯リビングから見た庭と親世帯。リビングと窓の位置をずらしているため、窓を開け放していても気にならない

[DATA]
家族構成:両親、夫婦+子ども3人
敷地面積:607.45㎡(約183.75坪)
床面積:親世帯114.31㎡(約34.58坪) 子世帯108.20㎡(約32.73坪)
建ぺい率:2世帯合計39.38%(許容60%) 容積率:2世帯合計36.63%(許容150%)
用途地域:第一種中高層住居専用地域
躯体構造:鉄筋コンクリート壁式造
設 計:(有)ロフト建築設計事務所 前里敬、宮里夏季
構 造:(株)エストルクトゥーラ
施 工:(有)國真住建
電 気:榮電舎 
水 道:(有)丸栄電気水道工業

[設計・問い合わせ先]
沖縄家作人(やーつくやー)ネット本部 098-869-3313 http://www.8298net.jp
(有)ロフト建築設計事務所 098-858-1134 http://u-loft.net
写真/比嘉秀明  編集/徳正美
毎週金曜日発行・週刊タイムス住宅新聞 第1605号・2016年10月7日紙面から掲載
 

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