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2017年3月31日更新

改築? 建て替え? 判断材料に|気になるコト調べます!⑰

住宅の耐震診断や建て替え検討の足掛かりとなることを目的に、県が2月まで申請を受け付けた「簡易診断」(2017年2月10日発行1623号掲載)。12月からの3か月で問い合わせは100件を超え、県民の関心の高さをうかがわせた。今回は実際に行われた簡易診断を取材。診断の流れや具体的な内容を、施主の声と併せて紹介する。

改築? 建て替え? 判断材料に

旧耐震基準・築39年のAさん宅「簡易診断」リポート
ひび割れや浮き 住宅外観を目視でチェック
 

技術者2人が確認 2時間弱

簡易診断を受けた中部のAさん宅は、築39年になる2階建てのコンクリート住宅。Aさんが25歳の時に建てた思い入れのある住宅で、15年前に仲間と一緒に2階の一部を増築している。10年前には外壁を塗装し直し、屋上は3年前に自分で塗装。軒下のひび割れなども目につくたびに自身で埋めるなど、自分なりにメンテナンスし続けてきたが、「実際のところはどうなのか知りたい」と簡易診断を申し込んだ。

Aさん宅の簡易診断には、建築士で簡易診断技術者の松本武寿さんら2人に、事業を担当する県建築設計サポートセンターの又吉美香さんが立ち合った。診断は住宅の外から目視で行う。重点的に見るポイントは柱・梁・壁・スラブ・軒下など=写真①②。ひび割れがないか、あれば長さや幅は何ミリか、クラックスケールと呼ばれる専用の定規で測定する=④。仕上げ材の浮きや剥離があれば、写真に収め記録する=③。

松本さんは「劣化でひびが入ると、そこから浸水して中の鉄筋が腐食・膨張し、コンクリートや仕上げ材が浮いてくる。それが構造上重要な柱や梁に見られる場合は、耐震性に疑問がある旨を伝え、精密検査を受けるかどうかの判断基準にしてもらう」と説明する。一見それと分からない浮きもあるため、柱・壁や軒下など面という面はすべて打診棒を使って診断=①②。屋上にも上がり、防水塗装の塗膜の劣化=⑤=や笠木の劣化、高置水槽の留め具の大きさや状態、数なども確認。全工程を2時間弱で終了した。


45件受理 関心の高まり感じ

Aさん宅では、開口部回りや軒下、2階の増築部と既存部とのつなぎ目にひび割れが見られたものの「すごく程度がいい」と松本さん。又吉さんは「ひび割れは、これ以上の浸水を防ぐためにも今のうちに埋めておくのがお勧め」と、自分でできる応急処置法もレクチャーした。気になっていることがあれば質問も可能。

松本さんら技術者は外観調査と設計図面を基に評価シートを作成。後日、依頼主であるAさんに改めて説明に来る旨を伝えた。

Aさんは「地震のニュースがあるたびに気になっていたので、わが家の状態を知るいい機会になった。家も古くなってきたし、リフォームしようか建て替えた方がいいのか悩んでいたが、これでようやく前に進める。県からの補助があり1万円余の負担で診断してもらえたのもありがたかった。今後については診断結果を見て子どもたちとも相談したい」と話した。

県建築設計サポートセンターでは耐震診断の申し込みを受理した45件中23件からアンケートの回答を得た。23件すべてが簡易診断を受けて「大変良かった・良かった」と回答。「どこに問題があるのかよく分かった」「今後の対策ができ助かる」などの声が寄せられている。今後、住宅の耐震化を進めるのに必要な点として「いつでも相談できる窓口」「補助制度の拡充」が挙がった。同センターは「耐久性と耐震性は別物。簡易診断を機に、旧耐震基準の建物所有者へ耐震化が必要という認識を持ってもらいたい」と話した。

 

壁面・軒下・屋上までチェック!


Aさん宅(写真)の簡易診断に同行。診断では壁面から軒下、屋上まで、ひび割れがないか、仕上げ材に浮きがないかチェックした。



①②打診棒を使って軒下や窓回りをチェックする。先端で面をなぞった時に響く音で、仕上げ材に浮きがないかどうかを判断する。


③仕上げ材がひび割れていたり、剥離している箇所は写真で記録。


④ひび割れはクラックスケールで幅を確認。


⑤屋上防水の状態を確認。水たまりは塗膜の劣化が原因


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毎週金曜日発行・週刊タイムス住宅新聞
第1630号・2017年3月31日紙面から掲載

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徳正美

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