「やりたいことリスト」見つめて住まいを選ぶ|建築士が語る 人生を楽しむ住まい

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2025年度の連載「お財布とヒトにやさしい住まいのヒント」のシーズン2。一級建築士の村山創さんが建築の専門知識と人生哲学を交えて、より「人生を楽しむ」ことにスポットを当てて「住宅論」をつづっていく。(文/村山創 一級建築士)

マイホームが負担に⁉︎

「夢のマイホームを手に入れたのに、不安が増えた…」そんな声を聞くことがあります。

本来、住まいは人生を豊かにするためのものです。それなのに、手に入れてから、心の余裕がなくなってしまうのはなぜでしょうか。

その理由の一つが「住宅費」の大きさです。住宅ローンを組むことで35年、場合によっては50年という長期のローンが生まれ、毎月の返済が必要になります。さらに、維持費や修繕費もかかるため、家計の中で住宅費の割合は大きくなります。その結果、今まで使えていたはずのお金が制限され、旅行に行ったり、新しいことに挑戦したり、趣味を楽しんだりといった「体験」に使えるお金が、次第に減ってしまうのです。つまり、住宅にお金をかけ過ぎると、知らず知らずのうちに「人生の選択肢」を狭めてしまう可能性があるのです。

ここで一度立ち止まって考えてほしいのが、「やりたいことリスト(バケットリスト)」です。

あなたはこれからの人生で、どんなことをやりたいでしょうか。どんな場所に行き、どんな人と、どんな経験をしたいでしょうか。住まい選びは、このリストと切り離せない関係にあります。むしろ「やりたいことを実現するために、どんな住まいがいいか」を考えることが大切です。

例えば「毎年、家族で旅行に行きたい人」と「家で家族と過ごす時間を大切にしたい人」では、選ぶべき住まいは大きく変わります。大切なのは、自分にとって何が大事かを知ることです。

人生の満足度を高めるお金の使い方には、大きく二つあります。

  • コト消費(体験・旅行・学び・人との時間)
  • モノ消費(家・車など)

どちらが良い・悪いではありません。大切なのは「バランス」です。住宅にお金をかけ過ぎて、体験に使うお金が減ってしまうと、結果として満足度が下がることもあります。

逆に、自分にとって価値のあることにお金を使えている人は、限られたお金でも豊かさを感じることができます。

住宅取得はゴールではない

ここで少し視点を変えてみましょう。住宅を取得することはゴールではありません。人生を楽しむための「拠点」を構えたということです。そう考えると、「本当に持ち家である必要があるのか?」という視点も生まれてきます。場合によっては、賃貸のほうがライフスタイルの変化に対応しやすく、自由に暮らせることもあります。

世間の「当たり前」に合わせる必要はありません。大切なのは、自分に合った選択をすることです。人生の主役は「家」ではなく、あなた自身です。住まい選びで一番大切なのは、「どんな人生を送りたいか」を考えることです。そのために、まずは「自分のやりたいこと」を見つめてみてください。

当連載では、住まいと人生の関係をさまざまな視点からお伝えしていきます。一緒に「人生を楽しむ住まい」を考えていきましょう。

執筆者プロフィル

むらやま・はじめ/一級建築士、創環境Design代表。フラット35適合証明技術者。設計の仕事をしながら、住宅関係の講演会や一般消費者に向けて住宅づくりの情報をSNSで発信する

【創環境Designのホームページ】https://hajimemurayama.my.canva.site/


毎週金曜日発行「週刊タイムス住宅新聞」人生を楽しむ住まい(1)
第2101号(2026年4月10日発行)より転載