短命な沖縄の鉄筋コンクリート 診断・修繕は必須|なるほど!大規模修繕の一歩

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住宅に長く住まうためには定期的な手入れが欠かせない。共同住宅の修繕は一戸建て住宅と比べ、規模や設備などから工種や費用面で大きく異なる。共同住宅の大規模修繕のポイントを、株式会社タイズリフォーム代表取締役の赤嶺雄一郎さんに解説してもらう。今回は沖縄の住宅事情から建物診断・修繕の重要性を考える。(文・図/赤嶺雄一郎 株式会社タイズリフォーム代表取締役)


皆さまこんにちは。今月から1年間、大規模修繕を軸に「共同住宅のメンテナンス」に特化した内容で連載いたします。どうぞよろしくお願いいたします。

高額な大規模修繕費

県内の住宅事情について、2025年に沖縄県企画部統計課が公表した「住宅・土地統計調査(23年10月1日現在)」によると、県内の総住戸数は69万9400戸で、増加率は前調査から7.2%。全国で最も高い水準になっています。

住宅の建て方別で見ると、一戸建てが37.4%(23万4900戸)、長屋が約1.0%(6400戸)、共同住宅が60.9%(38万1800戸)を占めています=下グラフ。共同住宅の戸数は1993年と比べ、約2.4倍増。住宅に占める共同住宅の割合は東京都に次いで全国2番目に高いと報告されています。

建て方別の住宅数推移

出典:令和5年住宅・土地統計調査(文字サイズなどは調整)

定期的な点検・消防設備は義務

建築時期別で分類すると、県内の共同住宅の多くは、1981年に施行された「新耐震基準」以降に建てられたものだと分かります=下表。旧耐震基準の住宅でも定期的なメンテナンスが実施されていれば、良好な状態で保たれている場合もあります。

建築時期別の共同住宅の割合

(筆者作成)令和5年住宅・土地統計調査の表6(建築の時期別住宅数)を加工。不詳(内容が不確定)な共同住宅の戸数を省き、構成比を算出した

ちなみに新耐震基準は震度5程度で損傷しないこと、震度6〜7で倒壊しないことが定められた基準です。耐震基準に限らず、共同住宅は建築基準法で高い耐火・避難基準(耐火建築物など)が定められ、定期的な点検や消防設備の設置が義務付けられています。

長屋との違いは、「共用部分」の有無

余談ですが、共同住宅と長屋は似て非なるものです=下図。

長屋は廊下や階段、エントランスなどの「共用部分」がありません。各住戸へ直接出入りできる比較的小規模な建築物であり、壁を共有して並ぶ連棟式が代表的です。テラスハウスとも呼ばれます。

一方、共同住宅は一つの建物内に複数の独立した住戸があり、共用部分を居住者が共有。建築基準法では「特殊建築物」に分類されています。

長屋(テラスハウス)と、共同住宅(アパート)の違い

長屋は共用部分をもたないため、耐火・避難基準が一戸建てのものと似ている。共用廊下や階段などがないため、共同住宅と比較してコストを抑えやすい

低い問題意識に、資金不足が足かせ

さて、前置きが長くなりましたが、連載のテーマである「大規模修繕」の重要性をお伝えします。

沖縄県は他県に比べて、頑強な鉄筋コンクリート(RC)の寿命が短い傾向にあります。RCの寿命は60年程度と言われていますが、塩害や強烈な紫外線などの影響から、沖縄では寿命を迎える前に限界を超えてしまうことも珍しくありません。

鉄筋腐食やコンクリートの爆裂が深刻で、防水処理や塗装を実施する前に、構造的な大規模修繕が必要となる場合があります。

多くの人が暮らす共同住宅は劣化を早期発見するため、「定期的な建物診断(インスペクション)」や「計画的な大規模修繕の実施」が特に求められます。しかし、実情は問題意識の低さや資金不足などが足かせとなり、計画的な大規模修繕が実施されていない建物が多いと感じます。

次回は、共同住宅を理想的に維持するために必要な「長期修繕計画」についてお話しいたします。

執筆者プロフィル

あかみね・ゆういちろう/株式会社タイズリフォーム代表。1級建築士、マンション維持修繕技術者、既存住宅状況調査技術者、宅地建物取引士

問い合わせ

株式会社タイズリフォーム
電話 098(975)7815


毎週金曜日発行「週刊タイムス住宅新聞」なるほど!大規模修繕の一歩(1)
第2101号(2026年4月10日発行)より転載