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9月1日は「防災の日」。地震や台風などの災害は、日頃の備えが被害の抑制につながります。「買い物のついでに」、「地域のイベントに参加しながら」など、日々の生活習慣を防災に生かすための考え方や具体的な方法を、防災士の平田千春さんに聞きました。(編集部/伊波克朗)
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「一日・一防災」を積み重ねて できることを増やす
沖縄県の豊見城市防災士の会副会長の平田千春さんは「いつもの習慣も意識を変えることで、防災につながります。一度に全部やろうとせず、一日一つ防災行動を行うことで、気がついたらできることが増えているはず」とアドバイス。防災に対する考え方や取り組み方を紹介する。
「防災って難しそう」「取り組みたいけど、なかなかできない」と、悩んでいる方もいるだろう。「でも、皆さんはすでに防災に取り組んでいるはずです」と平田さんは話す。部屋の片付けや、日頃の買い物も、少し意識を変えることで防災につながるという。
平田さんが紹介する「一日・一防災」に基づく防災ポイント11=下記参照=は、いつもの習慣に防災につながる行動を一つずつ加えていく考え方。例えば「掃除・整理整とんは、ケガ防止につながる」の場合、家に帰ったら靴を並べることも一日・一防災の一つ。「靴がバラバラだと、急いで外に逃げたいときに自分の靴が分からなくなる可能性があります。普段から靴をそろえておけば、避難時でも落ちついて行動するきっかけになるわけです」。
日ごろからできる、防災ポイント11
| 1 掃除・整理整とんは、ケガ防止につながる (特に玄関や出入り口はスッキリと) 2 物が倒れない・落ちてこない空間を増やす 3 普段使いで明かりを用意 4 備蓄食品と生活必需品はローリングストック 5 非常持ち出し品を用意(点検を忘れず) | 6 防災マップの確認と防災アプリの登録 7 住まいや職場がある市町村の地形や特性を知る 8 隣近所の人とあいさつを交わす 9 防災訓練へ参加し、災害時対応を学ぶ 10 連絡先メモを作り、携帯する 11 家族で災害時の避難方法や避難場所について話し合う |
暮らしの延長で備える
取りかかりやすい項目として平田さんが挙げたのは、掃除や整理整とんと買い物。日々の掃除に加え、棚を一つ整理する際に「家具が倒れた場合に、扉や避難経路をふさがないかも実際に倒して確かめてみて」。家具を固定するのが難しい賃貸住宅では、重い物を下段に置く工夫でも対策できる。
普段食べている保存がきく食品を一つ多く買うのも、一日・一防災。食べた分を新しく買い足し、常に一定量を備蓄するローリングストックで管理すると、暮らしの延長で災害に備えられる。「私は黒糖やドライフルーツなどを、おやつも兼ねてローリングストックしています。黒糖は熱中症の予防にも役立つので、オススメです」。避難生活では食事が偏り、便秘で体調を崩すことがあると教わったことから、豆類なども常備し、普段使いしている。
近所の人とのあいさつや地域のイベントに参加するのも、備えの一つだそうだ。日頃から顔見知りだと災害時にも声を掛け合いやすく、避難所での孤立を防ぐことにもつながる。実際、「普段地域の人と関わっていたかが、避難所ではすぐに分かる」と被災地を知る先輩から聞いたそう。親子が別々の場所で被災した場合でも、地域に顔見知りの大人がいれば子も親も安心だ。
まず試してみる
「防災用品を買って満足する方も多いですが、一度使ってみることも大事です」と平田さんは続ける。特に簡易トイレは、「いざ使おうとしても、抵抗感があったり、使い方が分からなかったりします」。種類ごとに使いやすさも異なるため、自分や家族に合うものを知っておけば、非常時や高速道路でパーキングに間に合わないときなどでも役立つ。非常持ち出し品の用意も同様だ。平田さんは薬やお薬手帳なども、あえて防災バッグに入れている。日常的にバッグを開くことで、中身や食品の賞味期限を定期的に点検する習慣が身につく。普段使うものを入れておけば、自然と開く機会も増えるだろう。
防災マップを見たり、防災アプリを登録したりするだけでなく、自分の足で地域を知るのも必要。平田さんは「防災ウオーキング」として、地域をあちこち見て回り、傾いているブロック塀(べい)や急斜面などを確認している。市町村や学校などが実施する防災訓練にも参加し、平常時から経験を積み重ね、いざというときの行動に反映させたい。家族との話し合いも気軽に。「もし職場にいるときに地震が起きたらどこに避難するか」などを、日常の会話の中で共有。他にも家族の連絡先を書いたメモは携帯用を作り、自宅にも掲示する=下画像。

平田さんは「防災は一つ始めると、次が気になってきます。今日は靴をそろえる、明日は棚を一つ片付ける。そこから始めて、一つずつできることが増えれば」と語った。
平田さんの「一日・一防災」
①掃除のついでに倒れたらどうなるかを確認 (防災ポイントの2)


掃除や整理整とん時、棚の中身を空にすることがあれば、そのついでに棚を倒してみる。実際に確かめることにより、地震で倒れることがあっても、出入口を完全にふさがないことが分かった(右写真)
②マスキングテープで賞味期限を管理 (防災ポイントの4)


長期保存が可能な食べ物は、購入時に商品名と賞味期限をマスキングテープに記載。上から見ただけで、引き出しの中に何があるのか分かりやすくしている。「購入したものを引き出しに入れる際に書くことで、習慣化しやすくなります」
③おやつにも非常食にもなる備蓄品 (防災ポイントの4)

平田さんが実際にローリングストックしている食品の一例。「防災食は、長期間保存できるものもありますが、家族分をそろえようと思うと値段が意外とかさみます。災害時だけの特別な食べ物ではなく、家族が好きなものでも備えることができます」
④アウトドアでも使う「防災バッグ」 (防災ポイントの5)

平田さん家族の防災バッグ。「私はアウトドア用のリュックサックを、使っていないときは防災バッグとして活用しています」。ポータブル扇風機も用意している
⑤非常用ライトは普段も使う (防災ポイントの3)

寝室からトイレまでの経路にライトを配置。普段使いをしている。通常は人感センサーで点灯するが、停電時は常時点灯に切り替えるタイプを使用している
⑥重い物は棚の下に (防災ポイントの2)

平田さんの職場にある棚。調味料を下にまとめて置くことで、安定して倒れにくい
⑦防災訓練に参加し知見得る (防災ポイントの9)

炊き出し訓練に参加、災害時に備えてビニールを使った調理を学んでいる
教えてくれた人

ひらた・ちはる/日本防災士機構認証防災士、日本防災士会沖縄県支部所属、FMとよみ代表取締役、アナウンサー
毎週金曜日発行「週刊タイムス住宅新聞」特集・9月1日は防災の日
第2121号(2026年8月28日発行)より転載