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本土とは異なる気候に属する沖縄建築は、これからどう変化するのだろうか。県内建築家の建築観やアマハジなど独自の沖縄建築の詞(ことば)が蓄積されてきた。本連載は日本建築家協会(JIA)沖縄支部の会員らがそれぞれの観点から、「亜熱帯の建築『詞』」について考える。今回は前田慎副支部長が沖縄の「被災建築物応急危険度判定活動(判定活動)」を語る。(文・写真/前田慎 日本建築家協会沖縄支部副支部長、アアキ前田(株)代表取締役)
災害対策・対応は時間の経過によって必要な活動が異なり、多岐にわたる取り組みです。JIA災害対策会議では発災前の備えから発災直後の対応、仮設住宅の設置、地域の復旧・復興まで、全過程について事例調査と議論を重ねています。行政でも危機管理や建築指導など複数の部署が連携し、備えを構築しています。
今回、JIA沖縄支部が重点的に検討している「被災建築物応急危険度判定活動」についてお伝えします。
2016年の熊本地震は災害関連死が直接死の4倍超、24年の能登半島地震でも災害関連死が直接死を上回っています。被災後も多くの命が失われる現実を踏まえ、2次災害を防ぎ、建物使用や避難の判断を支える判定活動の初動に注目しています。

2026年3月に開催された災害シンポジウム(主催・JIA沖縄支部)。能登半島地震に関する講演のほか、県内の行政職員と建築家の意見交換が行われた


能登半島地震時、応急危険度判定士が貼った「建築物判定ステッカー」。建築物の損傷具合に応じ、緑色のステッカー「調査済」、黄色の「要注意」、赤色の「危険」を貼り分ける。建築物の状況を住人らに周知し、2次災害を防ぐ
動ける判定士 地域で把握
沖縄県には約1300人の応急危険度判定士(以下、判定士)が登録されています。しかし登録有効期限は廃止され、「名簿上の人数」と「災害時に連絡がつき、かつ活動できる人数」が一致するとは限りません。島しょ県の沖縄は交通が途絶すれば、県外からの応援にも時間を要します。地域ごとに「誰が、どこで、動けるのか」の把握が重要です。
私はJIA沖縄支部と沖縄県建築士会浦添・西原支部(以下、浦西支部)で実態調査に取り組みました。資格の有無、県内外での協力意向、災害時の連絡先などを尋ね、資格を持つ会員から回答を得ました。単なる名簿づくりではなく、要請を確実に届け、判定活動を迅速に始めるための第一歩です。この取り組みは沖縄県建築士会による全県調査へ広がっています。

応急危険度判定コーディネーター講習会。円滑に判定活動が行えるよう、まとめ役の育成にも注力
条件整え 持続的な活動へ
民間の判定士として活動する課題として「建築士の負担」があります。現行制度では交通費や宿泊費は費用弁償の対象となる一方、本業を休み専門知識を提供する労務への手当は基本的にありません。
JIA沖縄支部が実施したアンケートでは回答者の約94%が活動手当を、「必要」または「どちらかといえば必要」と答えました。善意だけを前提にした体制では判定士の活動の継続が難しくなります。
現在JIA沖縄支部を含む県内建築4団体で、活動日当、人件費や業務補償など適正な費用弁償を、国や県に要請する準備を進めています。判定士の資格者を把握し、確実につなぎ、安心して参加できる条件を整える。判定士が本当に動ける仕組みへ育てたいと考えています。
顔が見える連携 行政とも
また、平時から行政と建築士が互いの顔と役割を知り、地域の連絡網を県全体の支援体制につなぐことが、制度を機能させる鍵になります。
8月5日には浦添市建築指導課を訪ね、調査結果と連絡網整備計画を説明しました。浦西支部の活動になりますが、LINEを活用した「浦西OQ判」を設け、情報共有の準備を進めています。浦添市とは危機管理部門を含めた協定締結の可能性を協議し、今後は西原町とも連携を図りたいと考えています。
執筆者プロフィル

まえだ・まこと/1970年東京都生まれ。94年琉球大学工学部卒業、2000年ポイントウォーカーデザイン設立。15年アアキ前田(株)に法人化。16年同大学大学院博士課程(後期)を修了。学術博士。手がけた建築物は県内外の設計競技などで数多くの入賞実績がある。
【問い合わせ】アアキ前田株式会社 電話098(943)2662
毎週金曜日発行「週刊タイムス住宅新聞」亜熱帯の建築「詞」(3)
第2123号(2026年9月11日発行)より転載