読了時間 約3分
住宅に長く住まうためには定期的な手入れが不可欠。共同住宅の修繕は一戸建て住宅と比べ、規模が大きく、設備や工種も増えるため、費用がかさむ。共同住宅の大規模修繕のポイントをタイズリフォームの赤嶺雄一郎さんに解説してもらう。今回は大規模 「改修」工事について。修繕だけでなく、居住者のニーズに応じた改良工事の必要性を解説する。(文・表/赤嶺雄一郎 株式会社タイズリフォーム代表取締役)
分譲マンションでは建物や設備の劣化対策や重大な不具合の発生リスクを減らすために、管理組合が主体となって長期修繕計画に基づく共用部分の修繕工事を計画的に実施(計画修繕)することは以前お伝えしました。
計画修繕工事の中でも、工事内容が大規模で工事費が高額、かつ工期が長期間にわたるものを「大規模修繕工事」と呼びます。
沖縄 独特の建築事情
県内の大規模修繕工事は本土と明確に違う特徴があります。なぜならば、本土と比較すると県内の建物の造りや修繕事情が独特だからです。
具体的には①ピロティ構造が多い②吹き抜けが多い③資材や人件費が高い④台風や酷暑で工事に影響が出やすい⑤コンクリートの爆裂や鉄さびが非常に多い⑥塗料や防水などに高耐候仕様が求められるなどが挙げられます。
これらの理由から県内の大規模修繕工事は「本土より高額となる」ことが一般的です。
修繕時の仕様に注目
個人的には修繕時に材料費(工事費)を上げてでも15年ほどは持たせられる高耐候仕様にすることが望ましいと考えています。修繕周期を延ばすことでランニングコストを下げ、管理組合の財政を救い、結果としてマンションの資産価値を適切に保つことに寄与するからです。
しかしながら、大規模修繕工事は一戸建てなどと違い施工対象面積が大きいため、相応の金額差が生じます。そのため、高耐候仕様の採用は管理組合の事情を鑑み、決定されると良いと思います。
「改」良と「修」繕が必要
ここで用語の意味を確認したいと思います=図1。
図1:意味を混同しやすい用語

「修繕」とは、経年や何らかの外的要因によって劣化した建物や設備などに対し、建築時の初期性能を取り戻すこと(原状回復)を目的としています。「補修」とは、劣化や不具合が発生した際、都度実施される小規模な工事のことです。
近年のマンションの性能や居住性は、建築や設備機器の性能向上に伴い著しく向上しています。一方、高経年のマンションでは各種性能や設備機器などが古くなり資産価値が低下しがちです。そのため修繕による性能の原状回復に加えて、居住ニーズに見合うよう「改良(グレードアップ)」することが望まれます。
「改修」とは改良と修繕を同時に施す工事のこと。改修はリノベーション、修繕はリフォームとも呼ばれます。
マンションに住み続ける上で必須である大規模修繕工事ですが、修繕だけを行うのでは万全とはいえません=図2。
図2:計画修繕と改良を含めた改修工事の重要性

時代のニーズに合わせ、経年に応じて改良工事の比率が高まっていく(※国土交通省「改修によるマンションの再生手法に関するマニュアル」から引用)
より暮らしやすく価値のある居住空間を実現していくには、時代の変化に合わせた「改修(改良と修繕)」工事をすることが強く求められています。
執筆者プロフィル

あかみね・ゆういちろう/株式会社タイズリフォーム代表。1級建築士、マンション維持修繕技術者、既存住宅状況調査技術者、宅地建物取引士
問い合わせ
株式会社タイズリフォーム
電話 098(975)7815
毎週金曜日発行「週刊タイムス住宅新聞」なるほど!大規模修繕の一歩(5)
第2119号(2026年8月14日発行)より転載