設備工事は想定困難!|なるほど!大規模修繕の一歩

住宅に長く住まうためには定期的な手入れが欠かせない。共同住宅の修繕は一戸建て住宅と比べ、規模や設備などから工種や費用面で大きく異なる。共同住宅の大規模修繕のポイントをタイズリフォームの赤嶺雄一郎さんに解説してもらう。今回は長期修繕計画(長修)の作成委託や計画が難しい設備工事について。(文・表/赤嶺雄一郎 株式会社タイズリフォーム代表取締役)


分譲マンションなどの区分所有の建物における管理規約について、建設省(現・国土交通省)が1982年5月に「マンション標準管理規約」を策定し、多くの分譲マンションで標準様式として採用されるようになりました。その後、同規約は時代の変化や関連法規の改正などに伴い幾度の改訂が行われ、直近では2026年4月施行の「改正区分所有法」に対応するため、改訂が行われています。

長期修繕計画の作成は組合の業務

マンション標準管理規約の第32条には長期修繕計画(以下、長修)の作成や変更、および計画書の保管が「(マンション)管理組合の業務」として定められています。しかし、長修には高度な専門知識や経験が必要となるため、実際には外部=表1=に委託して原案を作成。それを管理組合が審議・承認するのが一般的です。

2回目の連載記事では、この長修の作成や見直しを行う際の標準様式やガイドラインを国土交通省が08年に策定したことや、長修が「建築」工事と「設備」工事に大別されることなどを紹介しています。

突然の故障+単価変動

外壁塗装・防水・シーリング・建具・機械式駐車場改修などに代表される建築工事は、工法や使用材料などがある程度限定されるため比較的計画しやすいです。

一方、設備工事は設備ごとに素材や耐用年数が異なり、突発的な故障や単価の変動が起こりやすいため、計画の見落としや資金不足に陥りやすいです。具体的には給排水・防災通信・昇降機・電気設備などが挙げられます。これらは法定耐用年数と実質寿命が合致しないことも多く、メンテナンスの有無によっても修繕周期や金額が変動=表2。部分修繕を実施する場合は一括修繕に比べ、修繕費が割高になることがあります。

資金計画には余裕を

築30年を超える頃には、「2回目」の大規模修繕工事に加え、給排水設備やエレベーターの更新など高額な設備工事が重なってきます。しかし、県内では築30年を超えても大規模修繕工事が実施されていないマンションも一定数存在し、特に自主管理で多く見られます。 私はこのようなマンションの修繕にも数多く携わってきましたが、例外なくコンクリートやタイルの劣化に加え、設備工事が加わるため、非常に高額な工事となることが通例です。

修繕積立金が不足しているマンションでは長修を作成し、修繕積立金を大幅改定することで、金融機関の融資を受けることが多いと思います。資金計画表は長修と連動して「必要積立額」を算出できますが、前述した設備工事の難しさなどを考慮し、余裕を持った積立額にした方が良いでしょう。 

執筆者プロフィル

あかみね・ゆういちろう/株式会社タイズリフォーム代表。1級建築士、マンション維持修繕技術者、既存住宅状況調査技術者、宅地建物取引士
【株式会社タイズリフォーム】電話 098(975)7815


毎週金曜日発行「週刊タイムス住宅新聞」なるほど!大規模修繕の一歩(3)
第2110号(2026年6月12日発行)より転載