共有名義は本当に「公平」?|負動産を深掘り

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家族がもめないための「幸せ相続計画」の普及・啓蒙をする(一社)全国幸せ相続計画ネットワークの専門家が、相続で大切なワードを深掘りして解説する。今回は同ネットワークの代表理事・亀島淳一さんが、所有していると利益よりも負担の方が大きくなる「負動産」の中から、「共有名義」の不動産のリスクや2023年の法改正でできるようになった対策を説明する。(文/亀島淳一 一般社団法人 全国幸せ相続計画ネットワーク・代表理事)

複雑化するリスク

相続が発生した際、「兄弟の仲が良いから」「公平に分けたいから」という理由で、不動産を共有名義にするケースがあります。一見すると平等で円満な解決策に思えますが、共有名義には、将来の相続で問題が複雑化するリスクがあります。

共有不動産では、売却や建て替え、土地活用などの場面で、行為の内容に応じて共有者の同意や持ち分による決定が必要になります。相続当初は兄弟2人だったとしても、その後さらに相続が発生すれば、おいやめいなどへ権利が引き継がれ、共有者が増えていくことがあります。共有者が増えるほど、意思決定は難しくなります。遠方に住んでいる人や海外に移住して行方が分からない人、連絡が取れない人、売却や活用に反対する人がいると、不動産が、「持っているのに動かせない状態」になってしまうこともあります。

一方で、固定資産税などの負担は続きます。せっかく受け継いだ不動産であっても、売却や有効活用が進まなければ、資産価値を十分に生かせない可能性があります。しかも、当初は納得していてもその後、考え方が変わることもあります。共有の難しさは、人数だけでなく時間の経過によっても大きくなっていくのです。

共有名義の土地は、連絡が取れない人や行方が分からない人がいたり、売却や活用に反対する人がいると「持っているのに動かせない」状態になり、固定資産税などの負担だけが続くことになる

2023年に法改正

こうした共有関係の複雑化は、所有者不明土地の問題とも深く関係しています。法務省も、相続が繰り返されることで共有者が多数となったり、一部の共有者の所在が分からなくなったりすることで、土地の利用や管理に必要な意思決定が難しくなることを社会問題と捉えています。

そこで2023年4月から、共有不動産をめぐるルールが見直されました。例えば、所在などが分からない共有者がいる場合、裁判所の手続きを利用することで、

  • 所在等不明共有者の持ち分を取得できる制度
  • 所在等不明共有者の持ち分を含め、不動産全体を第三者に譲渡できる制度
  • 所在等不明共有者がいる場合でも、一定の要件のもとで共有物の管理や変更を進められる制度

などが利用できるようになりました。

また、相続によって共有状態になった不動産について、相続開始から10年を経過した場合に共有関係の解消を促す仕組みも設けられています。

こうした法改正によって、以前よりも「共有者と連絡が取れず何もできない」という状態から抜け出すための選択肢は増えました。

しかし、法改正によって共有の問題そのものがなくなったわけではありません。手続きには裁判所の関与なども必要になります。

だからこそ「とりあえず共有」にする前に、次の世代が管理し、活用し、必要に応じて処分できるかまで考えて承継方法を決めることが、これからの相続には求められています。


(一社)全国幸せ相続計画ネットワークとは

全国の士業(税理士、司法書士、弁護士)をはじめ、相続の専門家が「相続で家族をもめさせない」「相続で優良財産を減らさない」「子や孫を将来お金で困らせない」ことを目指し、「相続計画」という新しい考え方の普及啓もう活動を行う。「親の不動産(通称:もめナビ)」サイトを監修。
https://www.momenavi.com/

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毎週金曜日発行「週刊タイムス住宅新聞」○○を深掘り(7)
第2128号(2026年10月16日発行)より転載