「涼しいし、湿度も低く感じる」ZEHの断熱・遮熱効果を体感 琉球大学の実証実験棟で講座

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沖縄県地球温暖化防止活動推進センターは8月22日、琉球大学のネット・ゼロ・エネルギー・ハウス(ZEH)実証実験棟で、一般住宅との性能の違いを体感・比較する講座を開いた。約20人が参加し、温湿度の差などを肌で感じたほか、専門家から省エネのヒントを学んだ。9月6日(日)にも同じ講座が開かれる。(編集部/東江菜穂)

温・湿度の変動が少ない

2014年、国はZEHの普及目標を初めて設定した。その当時、他県に比べて沖縄での認知度の低さに危機感を覚えた県内の建設企業が、琉大理学部の眞榮平孝裕教授に相談したのをきっかけに19年、同大の駐車場に「ZEH実証実験棟」が建てられた。沖縄の風土に合ったZEHの研究開発を目的としている。

同棟は平屋の一戸建て住宅で、半分が「標準住宅モデル」、半分が「ZEHモデル」になっている。

同大に建つZEH実証実験棟。右側が標準住宅モデルで、左側が断熱・遮熱性を高めたZEHモデル

「標準住宅モデル」は、壁がコンクリートブロック(CB)、天井がコンクリートパネル、窓は一般的なアルミサッシと単板ガラスを使用している。断熱材は入れていない(現在は断熱リノベーションの性能調査のため内断熱などを施している)。

ZEHモデルの窓は断熱性や気密性の高い樹脂サッシと複層ガラスを使用

標準モデルの窓は一般的なアルミサッシと単板ガラスを使用している

「ZEHモデル」は、CB造の上から外断熱を施しているほか(現在は内側にも断熱材を使用)、屋根には厚型の木質系材料「CLT」を使用。窓は熱伝導率の低い樹脂サッシと複層ガラスを使い、断熱性や気密性を高めた。さらに換気システムは、外気の熱と湿気を回収してから室内に取り込む第一種換気(全熱交換器)を装備している。

ZEHモデルの天井は厚みがあり断熱効果のある木材CLTを用いた

両空間でエアコンの設定温度を24度で24時間付け放しにしたところ、ZEHモデルは24度前後で一定に保たれていた。一方で標準住宅モデルは、夜間〜明け方は24度近くになるものの、昼過ぎ〜夕方ごろは30度以上まで上昇した=下グラフ。

断熱をしていない標準住宅モデルと断熱をしているZEHモデルとの室温の違い(両空間ともエアコンは24度で24時間付け放し、2023年7月6日〜8日/眞榮平教授提供)。ZEHモデルの方は1日の室温変化が1度程度に抑えられているのに対し、標準住宅モデルは5度前後変化している ※23年当時のZEHモデルは現在より断熱性能が低いため現在との比較上、便宜的に「低断熱」と表現している

「エアコンの効率は、外気温、日射、断熱・遮熱性能、建物への蓄熱、室内外への熱の出入りなどさまざまな条件で変わる」と眞榮平教授。それを踏まえ、「外気の影響を受けやすく室温の変動が大きい住宅は、外から入ってくる熱をエアコンで取り除く必要があるため、冷房に必要なエネルギーも大きくなる。逆に断熱・遮熱性能が高く、室温が安定している住宅は冷房の負荷を抑えやすい。それが電気料金の差につながる」と説明した。

両空間の室内壁をサーモカメラで撮影した写真。温度が高くなるにつれて紫→赤→黄→白の階調で変化する。上のZEHモデルは外断熱を施しているため全体的に紫色の部分が多い。ムラが少ないことから断熱施工が適切に行われていることが分かる。下の標準住宅は建物が太陽光で熱せられ蓄熱しているため黄色の部分が多く見られる。またムラが生じているのも特徴(眞榮平教授提供)

建てた後の費用も考慮

同講座には、一級建築士の村山創さんも登壇。長い目で見たZEHのメリットを解説した。「昨今、電気代は上がり続けている。そのため、光熱費を抑えることは今はもちろん、将来の家計に大きく影響する」と説明。築古の一般住宅と太陽光発電を搭載したZEHの目安光熱費を比較すると「年間で約15万円以上の差が出ることも。これを35年で計算すると500万円以上の差が発生する。建てた後のコストも家選びの大切な〝ものさし〟だ」。

講師を務めた琉大の眞榮平教授(左)と一級建築士の村山さん

さらに「家の省エネ性能が高ければ高いほど、国の支援は手厚くなる。補助金がもらえたり、住宅ローンの控除が受けられたり、贈与税の優遇措置などもある。『本体価格の安さ』だけで選ぶと、結果的に損をすることも。その家で暮らす何十年分の光熱費や修繕費、税金や金利なども踏まえて考えることが、現代の家造りにおいて重要」と力を込めた。

参加者からは「ZEHモデルの方が涼しいだけでなく、湿度も低く感じる」「断熱の大切さを実感した」などの感想が上がった。 眞榮平教授は「現在、標準住宅モデルに内断熱を施し、断熱リノベーションをした際の効果を調査している。新築のハードルが高くなっている昨今、リノベで家の性能を上げるのが現実的。内断熱の方が外断熱より費用が安く済み、温度をコントロールしやすい。その結果も見ながら、沖縄に適したZEHの研究開発を進めていく」と話した。

現在の「標準住宅モデル」は壁や天井に断熱材を施し「断熱リノベ」の効果を調査中

講座で紹介された夏の省エネのヒント

  • 窓からの日射を防ぐ(カーテンやブラインドで対処したり、すだれやよしずで日差しが室内に入る前に遮ったりするのも効果的)
  • エアコンはできるだけ部屋が暑くなる前にオンにしましょう
  • 空気は重たいので、扇風機などを併用して攪拌(かくはん)しましょう
  • エアコン使用時は、トイレなどの換気扇はドアを閉めた状態で使用しましょう(冷気を排出してしまうため)
  • 帰宅後、部屋が暑いときはエアコンを付ける前にできるだけ空気の換気をして熱を逃がしましょう

「ゼッチが体験・比較できる講座」

2026年9月6日(日)午後1時30分〜3時30分(定員は先着20人)
琉球大学にて。入場無料

問い合わせ・申し込み
沖縄県公衆衛生協会
電話 098(945)2686 (平日・午前8時30分〜午後5時30分)


毎週金曜日発行「週刊タイムス住宅新聞」琉球大学 ZEH実証実験棟で講座
第2122号(2026年9月4日発行)より転載