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2019年12月6日更新

到達時間で対応変える|みんなの防災計画[9]

文・長堂政美
沖縄でも発生の可能性がある津波。到達までの時間的余裕があるかないかで、次の行動が変わる。NPO防災サポート沖縄の長堂政美理事長は「時間的余裕がなければただちに高いビルや高台へ避難。車は使わないで」と話す。

■災害が起こったら④(津波編)

本島25メートル、離島40メートルの遡上高

大規模浸水のおそれ

沖縄県の津波浸水想定設定検討委員会は、過去に発生したり今後発生が想定される津波を基に設定した「最大クラスの津波」により、沖縄本島では最大25メートル、離島では最大40メートルの津波遡上(そじょう)高を予測しています。

この「遡上高」とは海岸から進入してきた津波が、陸上を這(は)い上がってくる最高地点(標高)のことです=下イラスト参照。




つまり、万が一、沖縄本島近海で大きな地震が発生したら、陸上では建物倒壊等の地震災害が起き、それと同時に襲来する津波によって、最大遡上高までの標高の地域が浸水してしまうという最悪な状態に陥るおそれがあります。

車での避難は原則NG
1960年に発生したチリ地震では、発生から約24時間後に津波第一波が沖縄本島に到達しました。しかし、南海トラフ巨大連動地震の場合では、56分後と言われています。

津波への備えとして、まずは、時間的余裕がある場合と、ない場合の2通りの避難行動を確認=(下の津波の備え)特に時間的余裕がない場合に避難するための高い場所は特定しておきたいですね。

また、避難する際、時間的余裕がなければ車を使うのは原則NG。交通混乱によって、より危険な状態を招く可能性があるからです。

ただし、障がい者など、徒歩での避難が困難な場合は車を使います。交通混乱に陥らない経路を事前に特定しておきましょう。

津波への備え
①津波注意報、津波警報、大津波警報(津波特別警報)の内容を把握しておく=下参照


②市町村が防災マップで示す津波避難ビル、高台の避難場所を確認しておく。地震と違い、津波のときは、そのような場所に一時避難することになる。万が一、津波で住宅が被災した場合は、高台にある小中学校の避難所に避難する
③避難行動
(1)津波がすぐに襲ってくる。避難に時間的余裕がないと判断したとき

地震の発生場所、大きさによっては、すぐに津波が襲ってくる。そのような危機的状況のときに、上の②が有効になる。また、車での避難は原則禁止。非常持ち出し袋や建物の施錠など対策する時間はなく、すぐに避難する

(2)津波が数時間後に襲ってくる。避難に時間的余裕があると判断したとき

遠方で大きな地震が起きた場合、沖縄には数時間後に津波が到達する。このようなときは慌てずに、電源ブレーカーとガスボンベバルブの遮断、戸締まりなどをして、非常持ち出し袋を持って高台に一時避難。車の移動も周囲の状況を判断して、交通混乱の心配がなさそうならOK

④正確な津波情報を自分で入手する
テレビ・ラジオ・市町村の防災無線(全国瞬時警報シス テム⇒通称Jアラート)・エリアメール、スマートフォンア プリなどを利用して正確な情報を入手する。言葉での情報 伝達は人から人に伝わっていく中で、不確実な情報(デマ) になってしまう可能性があるので注意




ながどう・まさみ/NPO法人防災サポート沖縄理事長、元沖縄市消防長 098-923-4442

毎週金曜日発行・週刊タイムス住宅新聞
第1770号・2019年12月6日紙面から掲載

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