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2021年7月9日更新

[沖縄・建築探訪PartⅡ⑬]沖縄グリーンルネッサンス|沖縄自動車道友の会 (沖縄自動車道)

次世代に残したい沖縄の建造物の歴史的価値や魅力について、建築士の福村俊治さんがつづります。文・写真/福村俊治

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沖縄自動車道友の会(沖縄自動車道)

沖縄グリーンルネッサンス

来年、沖縄は日本復帰50周年を迎える。米軍施政下で遅れていた都市のインフラ道路整備のため、復帰後巨額の予算が注ぎ込まれてきたが、今なお交通問題は解決していない。また多くの街路樹が植えられたが、植栽による都市景観の向上や歩行者への木陰の確保という目的も達成されていない。

そもそも沖縄は、亜熱帯島しょ地域に位置し高温多雨のため、植物の成長に最適なところである。ガーデンシティーと呼ばれるシンガポールのように花と緑にあふれる街づくりが可能な地域である。1965年に資源のないシンガポールは政府主導で「緑に囲まれた都市」を目指した。当時のリー・クワンユー首相は「この新しい植物が生育すれば、気温が下がり過ごしやすくなり、今とは違うシンガポールになる」と語った。その狙いは「緑の国」を作ることによって安心安全・快適清潔なイメージを国民や観光客や海外投資家に与え、国際的な競争力を高めることにあった。事実、小さな島シンガポールには今や世界中から人が集まり、豊かで美しい国際都市になっている。

それに比べわが沖縄は、SDGsや観光県を表明しながら、今なお自然の海や緑の大切さに気づいていない。多くの道路は雑草が繁茂し、木陰もなく暑苦しく、街の景観を壊している。コロナ禍の今だからこそ明るい未来を作るビジョンが必要である。かつて、オリオンビール記念事業の「花の国際交流」に参加し、沖縄自動車道にボリビアのトックリキワタを植栽した造園家・武田慶信氏の発案で、私たち沖縄自動車道友の会は、沖縄の主要道路の街路樹を再生できないかと考えている。まず手始めに沖縄本島中央を縦走する高速道路を調査した。維持管理が十分でないのか、樹木の多くは弱り、道路沿いのギンネムの繁茂で道路景観を損ねている。


沖縄自動車道の金武付近に植栽されたボリビア産のトックリキワタ(県環境部パンフレットより)

シンガポール・オーチャード通りのレインツリーの街路樹(シンガポール観光省パンフレットより)

高速沿線に植物園街道

長年「沖縄の緑化」を訴えてきた吉田朝啓会長は、来年の復帰50周年と世界のウチナーンチュ大会を機会に、コロナ禍後の沖縄観光復活を目指して、海洋博公園につながる高速道路沿線に世界中の温帯・亜熱帯・熱帯植物の収集・保管・育種・展示し、世界に類を見ない「植物園街道」を構想する。中城や伊芸のサービスエリアには沖縄の特産物や世界の果樹やコーヒーが味わえるショップを作る。

またウチナーンチュ大会の参加者に自国の花木の種を持参するように呼びかけ、苗木を育てる。そして沖縄の主要道路に各国の樹木を植え「ハワイ・ボリビア・アルゼンチン・ブラジル・ペルー街道」などと命名し、ふるさと沖縄へ再訪を呼びかけ南国沖縄の「緑の復活」のスタートとする。


ハワイ・オアフ島、ミリラニ・ニュータウンのモンキーポッド(アメリカネムノキ)の街路樹


アルゼンチン・ブエノスアイレスの中心地、ジャカランダの街路樹(アルゼンチン観光省パンフレットより)


[沖縄・建築探訪PartⅡ]福村俊治
ふくむら・しゅんじ
1953年滋賀県生まれ。関西大学建築学科大学院修了後、原広司+アトリエファイ建築研究所に勤務。1990年空間計画VOYAGER、1997年teamDREAM設立。沖縄県平和祈念資料館、沖縄県総合福祉センター、那覇市役所銘苅庁舎のほか、個人住宅などを手掛ける。沖縄自動車道友の会事務局 電話098-943-4881
毎週金曜日発行・週刊タイムス住宅新聞
第1853号・2021年7月9日紙面から掲載

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