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2023年4月7日更新

名義変更も贈与税の対象[失敗から学ぶ不動産相続⑬]

新年度を迎え、新生活を始める子や孫に目を細め、何かサポートしてあげたい! 何かプレゼントしたい! と思うのは当然のこと。しかし、良かれと思ってあげた贈り物が、実は贈与税の対象になるかもしれません。

失敗から学ぶおきなわ不動産相続
 

贈与税

名義変更も贈与税の対象

新年度を迎え、新生活を始める子や孫に目を細め、何かサポートしてあげたい! 何かプレゼントしたい! と思うのは当然のこと。しかし、良かれと思ってあげた贈り物が、実は贈与税の対象になるかもしれません。


財産もらった側が支払う税金

よくごっちゃになっている方が多いので、最初に「贈与」と「相続」の違いを説明します。財産をあげる側が生きている間にその財産を渡す場合は「(生前)贈与」といい、あげる側が亡くなっている場合が「相続」です。同じ財産でもあげる側が生きているか亡くなっているかで、課税される税金の種類や利用できる制度に違いがあります。

自分の財産なのだから家族にあげても問題ないだろうと考える方はとても多いのですが、家族間であっても財産をあげることは「贈与」となり、「贈与税」の対象となります。今回のような土地などの不動産の名義変更だけでなく、一定額を超えた現金も贈与税の対象となることをぜひ覚えていてください。

また、贈与税は財産をあげた側ではなく、もらった側が支払う税金です。原則現金での一括納付となります。財産をもらったのに贈与税が払えない! という状況にならないためにも、贈与は慎重に行う必要があります。

 
【概要と経緯】
相談者は長男。5年前、長男は結婚したことをきっかけに父名義の土地の上に住宅を建てた。その2年後、長男に息子が生まれ、先祖代々続くこの土地を引き継ぐ孫の誕生に祖父である父は大喜び。将来、姉や弟と相続でもめないよう、早速この土地を長男へ引き継ぐための名義変更の手続きをおこなった。
 

【どうなったか?】
名義変更から1年半が経過したころ、長男の元へ税務署から200万円の贈与税の納税通知書が届いた。家族間で土地の名義変更をしただけで税金がかかるとは知らず、税務署に問い合わせたが「名義変更=贈与」になると言われた。贈与税は原則現金での一括納付となるため、家族から現金を借りてなんとか支払うことができた。
 
【今回のポイント】
・家族間での土地の名義変更も贈与税の対象
・同じ財産だと贈与よりも相続でもらうほうが税金は低くなる傾向がある
・一定条件を満たすことで贈与税が非課税になる各種制度がある
・思わぬ税金を払わないためにも贈与は事前に専門家へ相談しよう

 
非課税になる制度を活用

しかし、さまざまな理由で相続が待てず、財産を生前に贈与したい方はいらっしゃいます。そのような方向けに、贈与税が一定額までは非課税になる制度があります。

現金の贈与の場合、例えば「子や孫に結婚や子育ての資金を贈与するとき」「子や孫が住宅を取得する際の資金を贈与するとき」「孫の教育資金を贈与するとき」など、一定の条件を満たすと贈与税が非課税になります。

また、夫婦間であっても、生活資金以外の多額の現金の贈与や不動産の名義変更は贈与税の対象となります。この場合、婚姻期間が20年以上であること、居住用不動産を取得するための資金であることなどを条件に、一定額まで贈与税が非課税となる制度(通称・おしどり贈与)もあります。

今回のように親子間における不動産の贈与の場合は、「相続時精算課税制度」を利用することで贈与税を低く抑えることが可能となります。ただし、贈与する額や使用用途、贈与する側とされる側の関係性など一定の条件を満たしていることと申告手続きが必要です。思わぬ税金を支払う羽目にならないよう、贈与する前に専門家へご相談ください。



用語説明
「贈与」と「相続」
財産をあげる側が生きている場合は「(生前)贈与」となり、あげる側が亡くなっている場合は「相続」。同じ財産でもあげる側が生きているか亡くなっているかで、課税される税金の種類や利用できる制度に違いがあり、また、かかる税金は相続よりも贈与の方が大きくなる傾向がある。


友利真由美/(株)エレファントライフ
[執筆者]
ともりまゆみ/(株)エレファントライフ・ともりまゆみ事務所代表。相続に特化した不動産専門ファイナンシャルプランナーとして各士業と連携し、もめない相続のためのカウンセリングを行う。
電話=098・988・8247

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毎週金曜日発行・週刊タイムス住宅新聞
第1944号・2023年4月7日紙面から掲載

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