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2017年1月6日更新

25坪でもLDK広々|アーキデザインワークス一級建築士事務所

「立地とコスト重視」で那覇市の住宅密集地にEさん夫妻が建てたのは、鉄筋コンクリート造2階建て。建坪25坪ながらLDKはすっきり広々。夫人の母親も同居予定だ。

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住宅密集地に3世代同居

Eさん宅    RC造/自由設計/家族4人

2階南側から見たLDK。直線状につないだLDKは端から端まで見通せる上、中央のハイサイドライトから空へと視線が抜け、実際の面積以上に広々


すっきり快適に  LDKから丘陵も
「広過ぎず手が行き届く大きさで、交通や生活に便利な場所がいい」と土地探しにかけること3年。Eさん夫妻が見つけたのは、都心にほど近い住宅密集地にある間口7メートル弱の30坪の敷地だった。並行して依頼先探し。「予算的な問題もあり、どこに相談しても厳しいことを言われ諦めかけていた」ところ、快く話を聞いてくれる建築士に出会い、トントン拍子に話が進んだ。
1階に夫人の母を含めた家族4人の寝室と水回り、2階にLDKを配置した住まいは、外から見ると「白い小さな家」。そのイメージを覆すのが、2階のLDKだ。「2階に上がると皆さん驚かれますよ」との夫人の言葉通り、2階は端から端まで見渡せ、実際以上に広々。ハイサイドライトからは空も見える。特に効果的なのが、冷暖房効率を上げつつ視界は遮らない階段脇のガラス壁と、南東側のみ一部斜めに切り取ったテラス壁。「テラス壁は切り取った角度が絶妙。視線は気にせず首里の丘陵が見えてちょうどいい」と夫妻は満足げに話す。

具体的にイメージ
こだわったのは室内のスッキリ感。収納棚やいす、鏡、雑貨類などはどれもインテリア好きな夫人が集めた愛着のある物ばかり。白とグレーを基調にした室内にマッチする。
もともと「物はあまりない」ものの、プランの際は朝起きてから夜寝るまで、どこで何をしたいか、何が必要かをシミュレーション。それに合わせて水回りの照明やコンセントの位置、収納の向きや扉の形状、日用品の収納場所まで具体的に要望したおかげで、夫人は「スッキリと掃除もしやすい」と喜ぶ。
「建築中は天井が低過ぎないか、圧迫感がないか心配でしたが問題なし」とEさん。コンパクトな住まいは、スッキリと心地いい暮らしを生み出した。


キッチン側から見たLDK。一脚ずつ違うデザインに遊び心を感じるダイニングの椅子。階段脇の壁はガラス張りにしたことで圧迫感なく「正解」と夫妻


2階のダイニング側から見たキッチン。右手のパソコンスペースには、ボックスやファイル立てを活用し、雑多になりがちな化粧品や文具類、郵便物などがまとめられている
 

ここがポイント
シンプルな箱 抜けで広く

「小さくても予算をかけなくても、広がりのある快適な住まいづくりは可能」と設計を手掛けた佐久原好光さん。ポイントは①シンプルな形・仕上げ②多方向への抜け、だ。
①については3方に住宅が近接する30坪の敷地に2台分の駐車場を確保するため、建物は西側に寄せて配置。住宅は箱型にしてコンクリートの量を減らし、壁と天井は塗装仕上げ、水回り以外の床は夫人好みのグレーの長尺シートを敷き詰めた。「壁天井と造り付けの家具は白で統一し床はライトグレーに。明るくスッキリみせることで、コストを抑えつつ空間のグレードを上げている」と説明する。
②については1、2階とも長手方向となる南北に窓を設けて行き止まり感をなくし、頭上に視線が抜けるハイサイドライトを設置。テラスを囲んだ目隠し壁も、景色の良かった南東方向を斜めに切り取ることで圧迫感を解消。外観デザインとしても印象付けた。
1階は限られたスペースの中で、どれだけ部屋を広く、明るくできるかが課題に。そこで廊下、玄関、階段スペースは一体化して無駄を減らし、その分の面積は個室へ。2階の階段脇はガラス壁にすることで冷暖房効率は上げつつ光は下まで届くよう工夫。暗くなりがちな1階も明るく、広がりを感じさせることに成功した。
また基本設計の段階から3Dで空間を体感できるBIMを使用。イメージを共有した。


1階北側寝室から見た階段・廊下スペース。階段は手すりを省いたことですっきり。2階からの光が1階まで届く。階段下はコートなど季節もの衣類をしまっておける収納になっている


1階北側の夫妻の寝室。収納は可動式になっており、移動すれば奥の娘の寝室と一続きにして使用できる。収納は左右どちらからでも開く折れ戸になっており、小スペースでも開閉しやすい


1階トイレ・洗面室。洗面台は掃除しやすいようパッキンの位置を調整。収納は前からも横からも使えるよう工夫されいている


外観。2階テラス壁は、室内からの眺めを考慮し、手前の南東側のみ上部をカット。張り出したテラスは駐車場から玄関への雨よけにも


BIMで描かれた断面図。空から建物を見下ろすこともできるなど視点は自由に設定可能

[DATA]
家族構成:夫婦、子供、母
敷地面積:100㎡(約30.25坪)
1階床面積:42.19㎡(約12.76坪) 2階床面積:42.14㎡(約12.75坪)
建ぺい率:44.72%(許容60%) 容積率:84.33%(許容200%)
用途地域:第一種住居地域
躯体構造:鉄筋コンクリート造壁式構造
設  計:アーキデザインワークス一級建築士事務所 佐久原好光 中村夏美
施  工:米元建設工業(株)
電  気:(株)八起電設
水  道:(有)ライフ工業
[設計・問い合わせ先]
アーキデザインワークス一級建築士事務所
098-890-1288
www.archi-dw.com
写真/泉公/ララフィルム撮影  編集/徳正美
毎週金曜日発行・週刊タイムス住宅新聞 第1618号・2017年1月6日紙面から掲載
 

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