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2015年10月16日更新

テラスが憩いの場  風、光満ちる二世帯|沖縄家作人(やーつくやー)ネット

沖縄本島南部、南城市の住宅分譲地に、鉄筋コンクリート造2階建ての二世帯住宅を構えたFさん(53)。Fさん家族が住む2階は、約16畳のリビングテラスが室内に光と風をもたらし開放的。Fさんは「テラスでゴルフの練習をしたり朝食をとったりと、毎日が楽しい」とほほ笑む。

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「好き」を反映 増す楽しみ

Fさん宅(家族4人 自由設計 RC造)

 


2階のリビングテラス。ゴルフの練習に、友人を招いてのパーティーにと癒やしと集いの場になっている。オーダーメードのようにピッタリサイズのテントは、夫妻が県内のインテリアショップを巡り購入した


父親(76)の希望で新築した二世帯住宅。1階に親世帯、2階にFさん家族が暮らす。
外階段を上り、2階の玄関に入ると、LDKの南側に続く広いリビングテラスに目を奪われる。「このテラスを見て、みんなびっくりするんですよ」と夫人(52)。爽やかな白のテント、テーブルセットと寄せ植えを配したテラスは、家族のお気に入り。Fさんがゴルフの練習をしたり夫婦で朝食を楽しむだけでなく、友人らとバーベキューをするなど癒やしと憩いの場になっている。
隣接するLDKも天井が高く開放的。白が基調の内装に、夫人が好きなアジアン雑貨やあでやかな布が彩りを添える。「インテリアは、完成前から夫婦であちこちお店を巡って探したんです」。
LDKとその北側にある寝室との間の坪庭にも、ハンギングや鉢植えが。Fさんは「植物に触れるようになったのはこの家に来てから。書斎から海が見えるのも気に入っている。通勤は遠くなったけど楽しみが増えた」とにっこり。

高齢になっても安心
以前の住まいは那覇市内に父親が建てた築40余年の2階建て住宅で、10年ほど一緒に暮らしていた。「敷地が道路より低く、階段を上り下りするのが負担に。年をとっても安心して住める家に住み替えたいと思った」と父親は話す。
中古住宅を探したが希望の物件が見つからず、家族で相談し新築を決めた。父親の実家に近く、病院やスーパーも近接する分譲地を購入。設計先選びは、数社によるコンペ形式で設計を選べる仕組みを利用した。「提案が素晴らしく、気に入った建築士に依頼した。リビングテラスが決め手だった」と口をそろえる。
父親は、建築中から足しげく現場に通った。1階は車イスでの生活も意識したバリアフリーの造りで、和室の壁色は自ら提案した。「現場監督の気分ですよ」と父親は笑う。
住み始めて10カ月。季節や行事に合わせ室内を飾るのが好きという夫人は、「クリスマスツリーをどこに飾ろうか、イルミネーションは…と、今からワクワクしています」と楽しげに話した。


2階のLDK。夫人が選んだアジアン雑貨やカラフルな布が、白を基調としたシンプルな内装に彩りを添える。テラスを挟んだ向かい側は子ども室


ゆるやかにS字を描くルーバーが印象的な外観。海が近いこともあり、劣化や色あせが少ない、アルミの補強材入りの樹脂製ルーバーを選んだ。「夜になると、室内からもれる明かりがいい雰囲気」と夫人


2階の廊下に設けられたギャラリースペース。長男の部活動の写真や大会で獲得したメダルや賞状などがきれいに飾られ、家族の愛情があふれる


ここがポイント
内に開き視線遮る 肝はリビングテラス


Fさん宅の敷地は、西側に道路、北側と東側には既にアパートがあり、南側にも住居が建つことが予想された。建築士の古堅健一さんは、「四方の視線を考慮しながら自然の光、風が通る、健康的でリラックスできる家」をテーマに設計した。
プライバシーを守るため、1階は庭の植栽で目隠し。2階は外壁に大きな窓は設けず、内部に約16畳のリビングテラスや坪庭を配し、自然光と風、憩いを気兼ねなく楽しめるようにした。2階の各居室の天井は片流れで、高さは最大3・7メートル。高窓も設けて自然光を取り込む。窓の大きさやガラスは、近隣からの視線を検討して決定。高窓はすりガラスと透明ガラスを使い分けた。
リビングテラスを挟んでLDKと子ども室を向かい合わせに配置することで、視覚的な広がりも生まれた。「LDKからはテラス越しに子ども室が見渡せ、家族の気配も感じられるようになっています」。LDKと子ども室をつなぐ東西の廊下も有効に活用。事前に持ち込むアイテムを確認し、ギャラリーコーナーやピアノを収めるスペースを設けた。
1階の親世帯は、車イスでの移動や介護のしやすさを重視。室内のバリアフリー化、居室とトイレの近接に加え、駐車場から玄関までをゆるやかなスロープにしたり、玄関に腰掛けられるベンチを造り付けるなど、細やかな配慮が光る。


クロゼットで空間分け
約11畳の寝室は、ボックス型のウオークインクロゼットを挟んで、西側がベッドスペース、東側が書斎になっている。ワンルームを圧迫感なく、使い勝手良く機能分けした工夫が光る。

2階の寝室。中央にある鮮やかな黄緑色のボックスはウオークインクロゼット


下書斎側から見た寝室。


バリアフリーを重視した1階親世帯の和室と玄関。和室は角の柱をなくし、空間に広がりをもたせた。手前のリビングと一体的に使えるようになっているため「行事のときも便利」と父親。玄関にはベンチも造り付けられている


[DATA]
家族構成:夫婦、子ども2人
敷地面積:248.43㎡(約75.15坪)
1階床面積:102.42㎡(約30.98坪) 2階床面積:109.31㎡(約33.06坪)
建ぺい率:58.31%(許容60%) 容積率:85.23%(許容200%)
用途地域:第二種中高層住居専用地域
躯体構造:鉄筋コンクリート造壁式構造
設 計:一級建築士事務所FAD 古堅健一
構 造:金城企画
施 工:(有)國真住建
電 気:(株)大幸電設
水 道:(有)丸栄電気水道工業

[設計・問い合わせ先]
沖縄家作人(やーつくやー)ネット
098-869-3313
http://www.8298net.jp/

一級建築士事務所FAD(エフ エー ディ)
098-874-8066
 http://www2.odn.ne.jp/fad/
写 真/比嘉秀明撮影
編 集/比嘉千賀子

毎週金曜日発行・週刊タイムス住宅新聞 第1554号・2015年10月16日紙面から掲載

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比嘉千賀子

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編集者
住まいと暮らしの情報紙「タイムス住宅新聞」元担当記者。猫好き、ロック好きな1児の母。「住まいから笑顔とHAPPYを広げたい!」主婦&母親としての視点を大切にしながら、沖縄での快適な住まいづくり、楽しい暮らしをサポートする情報を取材・発信しています。

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