ストック住宅の活用法「リノベーション」をより知ろう。第一線で活躍する、ブルースタジオ・石井健氏に聞くその魅力とは?|気になるコト調べます!④|タイムス住宅新聞社ウェブマガジン

沖縄の住宅建築情報と建築に関わる企業様をご紹介

タイムス住宅新聞ウェブマガジン

家づくりのこと

住まいに関するQ&A

2016年5月13日更新

ストック住宅の活用法「リノベーション」をより知ろう。第一線で活躍する、ブルースタジオ・石井健氏に聞くその魅力とは?|気になるコト調べます!④

今年、創設40周年を迎える沖縄県建築士会北部支部は5月21日(土)、リノベーションの第一線で活躍するブルースタジオの執行役員、石井健氏を招き講演会を開く。ストック活用で住まいづくりの選択肢を広げ、自分らしい暮らしを可能にするリノベーション。その普及をけん引してきた同社の中心メンバーであり、500件以上のリノベーションを手掛ける石井氏に、リノベーションの魅力を聞いた。

自分らしい暮らし自在に

 Q1 リノベーションの魅力は? 
「記憶」や「時代」を継承しながら新旧を織り交ぜた空間づくりが可能なこと。例えば、昭和期の木造賃貸アパートや猥雑な街区の雑居ビルといった、映画のセットに住むような「懐かしい未来」にひかれる人が多いです。
住宅購入の観点では、立地の選択肢が多いこと、リーズナブルなコストででき、かつ値下がりしないという実利的なメリットもあります。マンションであれば、既存物件では到底実現できない「自分仕様の空間」を自由につくれることに魅力を感じる人が多いです。
ほかにもいろいろありますが、総じて言えば「継承×自由×スマート」に自分らしい暮らしが実現できるのがリノベーションなのです。

 Q2 リノベーションだから可能なことって? 
リノベーションとは、ただ単に中古住宅を改装する行為ではありません。これまでに建てられたストックを活かしながら、場所・お金・インテリア等を上手に組み立て、自分だけの「理想」の生活を編集=つくり上げる行為。家をステータスや人生のゴールと考えるのではなく、都心で心地良い住まいを合理的に求める人々にとって、多様な可能性を秘める手法なのです。

 Q3 興味はあるけれど、何から始めていいか分からないという人にアドバイスを。 
条件の良い物件探しの前に、「どこに住みたいか? どんな暮らしがしたいか」、自身の根源の希望を明確にすることが大切。「どこに」「いくらで」「どのくらいの広さがいいか」の優先順位を決めておくこと。総予算を計算し、それを基に物件費用とリノベーション費用の振り分けを考え、バランスよく編集していくようにしましょう。
その際、不動産や空間づくりについて総合的に話ができる建築のプロに相談するのが理想的ですが、そんな人が見つからないなら、それぞれのプロに話を聞いて最終形をイメージすると良いでしょう。
気を付けてほしいのは、「こんな暮らしがしたい」というライフスタイルの実現が最終目的だということ。例えば、料理が好きでキッチンのステキな空間はつくれたけれど、「欲しい調理器具を買うお金がない」となると、本末転倒になってしまいます。

 Q4 今回の講演会で伝えたいこと、今後提案していきたいことは? 
今後、取り組むべき大きな課題が省エネ化です。2020年の「省エネ基準適合住宅の義務化」は目前ですが、中古についての指標は事実上なく、このままでは中古は「燃費の悪い不良品」とされてしまいかねません。省エネという観点も踏まえつつ、古い建物の資産価値を高めるリノベーションの良さをお伝えし、東京での取り組みから沖縄の方なりの気付きを得て、省エネにも意識を向けてもらえればと思っています。


県建築士会北部支部40周年事業
「リノベーションで未来を変える」 石井健氏が今月21日に講演
石井氏の記念講演ほか、記念式典の準備を進める県建築士会北部支部。実行委員長の平良優介さんは、「創立40周年の節目で、関心の高いリノベーションをテーマに、より良い住環境づくり、建築への興味を広げてほしいと思い講演会を企画しました」と話す。
5月21日(土)の講演会に向け、参加者が興味のあるテーマに沿った内容となるよう、同支部では事前アンケートも実施し、準備を進めている。「建築業界従事者だけでなく、住まいづくりやまちづくり、デザイン等に関心のある方にとっても、さまざまなヒントが得られる講演会になると思います。気軽に参加ください」と呼び掛けた。
◆講演会:5月21日(土)午後2時~、名護市民会館中ホール ※入場料500円(学生無料)、事前申し込み。
◆記念式典:同日、午後3時30分~ ※一般参加歓迎。参加料2000円(講演会費込)
◆詳細・問い合わせ先:同支部ブログ 、40周年事業委員会( 090-1940-4443 平良)


ガラス張りのベッドルーム。築48年の中古マンションを、ホテルのスイートルームのような非日常空間にリノベーションした


いしい・たけし/1969年、福岡県生まれ。日本におけるリノベーションの先駆けであり、多数の設計実績を持つブルースタジオの執行役員。リノベーションをテーマに建築設計、コンサルティング、マーケティング、ブランディングを手掛ける。テレビ番組で「古い物件の家賃を倍にする不動産集団」として取り上げられたほか、朝日新聞デジタルでの連載コラムや著書多数。「郷さくら美術館(東京都)」で2012年グッドデザイン賞、「さくらアパートメント」で2014年度グッドデザイン賞受賞


毎週金曜日発行・週刊タイムス住宅新聞 第1584号・2016年5月13日紙面から掲載

住まいに関するQ&A

タグから記事を探す

この記事のキュレーター

スタッフ
週刊タイムス住宅新聞編集部

これまでに書いた記事:2138

沖縄の住宅、建築、住まいのことを発信します。

TOPへ戻る