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木×コンクリートや花ブロックのほか、集える開放的なリビング、山々への視線の抜け。Kさん夫妻の「お気に入り」だけでしつらえた住宅は自然の力を最大限生かし、高温多湿が一因の建築トラブル対策を施した環境住宅となっている。(編集部/市森知、撮影/比嘉秀明)
Kさん宅 RC造/自由設計/家族4人

1階LDKは吹き抜けで、印象的な木階段によって2階と立体的につながる。上部からも柔らかな光が降り注ぎ、白を基調とした室内に光と影のコントラストが浮かび上がる
開放感が立体的に広がる
本島南部、のどかな住宅街に建つKさん宅。西側に隣接するKさんの実家の土地を分筆し、知人に紹介してもらった建築士に設計を依頼した。建築費が高騰する中での家造りは建築士と共に奔走し、「お気に入りだけが詰まった」家が完成した。大らかな空間や機能的な家事動線のほか、木×コンクリート、花ブロックなどのこだわり建材がバランスよく取り入れられていた。

目隠しの花ブロックが印象的な外観。宙に浮いたような階段を登って玄関へ。玄関戸の脇にはルーバー窓があり、花ブロックを抜ける風を効率良く室内に取り込む
玄関からアーチ状の開口をくぐれば、2階まで立体的につながるLDKが広がる。1階にLDKと水回り、2階は各居室などが配置され、内壁を極力省いた空間は柔らかい日差しに包み込まれている。

室内は上下階を含め、大らかなワンルームのような空間構成。天井高が違う空間を積み木を重ねるように、つなぎ合わせていき、空間に変化を付けている
Kさんは「望んでいた通りの開放的な空間。広さはもちろん、小上がりの和室やヌック(空間の凹みなどを利用した小さなくつろぎスペース)と質が違う場所が一つの空間の中に散りばめられているのもポイントです」と話す。新築祝いには友人30人がかけつけ、かけがえないのひとときを過ごした。

小上がりの和室。腰かけることができ、カーテンを仕切ると個室として使うことができる。間接照明とし、すっきりさせることで「無垢なキャンパスのような天井に。子どもが自由に想像できるような小宇宙みたいな空間に仕上げました」と建築士・松田さん


(左写真)ガラスブロックや曲線の開口部、木階段のそばには花ブロック窓に囲まれたヌックなど施主のお気に入りがあふれる
(右写真)木階段そばのヌック。花ブロックが描く曲線のカーブには子どものおもちゃや人形を飾ったりしている
夫人のお気に入りの一つはキッチンからの眺め。山々へ視線が抜けるよう、南側(道路側)の窓の位置を微調整。「電線や道路標識などは見えず、自然の景色だけが見通せるので、気持がいい」と夫人。

キッチンから見たとき山の風景が美しく切り取られるように、施主の身長を基に現場で高さを測りながら窓の位置を調整した
実家の庭でサッカー、2階テラスでは月見
キッチンの背後にはファミリークローゼットや洗面室、室内物干し場、浴室などが一直線に並ぶ。夫妻は「家族のスペースともてなすスペースをゾーニング。プライバシーを確保しつつ、家事がしやすく、使い勝手のいい動線としました」と口をそろえる。
育ち盛りの小学生の長男はサッカーに夢中。家族でサッカー観戦したり、隣接するKさんの実家の庭でサッカーをしたり。また、2階のルーフテラスでは月見を楽しんだりと、過ごす場所も過ごし方もさまざまだ。夫妻は「限られた広さの中でも外の空間も思い思いに使え、伸び伸び過ごせるのがうれしい」と話した。


(左写真)2階の手すりのカウンターから見下ろすLDK。白を基調とした空間の中に、木仕上げの部位が際立つ
(右写真)2階子ども室は将来、仕切り壁の設置が可能。奥に寝室とルーフテラスがある。手すりには奥行きも幅もあるカウンターを造り付けた
ここがポイント/熱の移動を抑制 低価格で湿害対策
Kさん宅を手がけた建築士の松田まり子さんは夫妻の要望を反映した上で、沖縄の気候風土に即した環境住宅を計画。ポイントとなったのが ①「夏型結露による湿害対策」と②「自然の力を最大限生かすこと」。
①は北側にある1階干し場とその真上にある2階寝室との熱移動を抑え、1階天井面の結露を抑制。水気などを栄養素にするカビの発生防止につなげた。寝室の床下にクッション材を敷き、「専用の断熱材を施工しなくても、十分に対応できることを実証。建築トラブル回避とコスト削減につなげました」と松田さん。ほかにも、白く仕上げた外壁は日射熱を反射し、屋根は太陽光パネルにより蓄熱が抑えられる効果が期待できる。
②は風と自然光の利用だ。真夏日、Kさん一家は冷房を付けて過ごすが、「それ以外の多くの日は2階の高窓を開け、1階から家中を巡る風で涼を取っています」と夫人は話す。取り付けたシーリングファンも活用し、温度のムラを解消している。
また、天井の照明は極力見せない計画とし、「大陽の光と影の静かな雰囲気を演出しています」と松田さん。高窓から陽光が降り注ぎ、白い壁に影模様が映し出される室内となっている。
隣接するKさん実家とのつながりも大切にした。実家の庭に向け、小さなヌックなどを設置。施主こだわりの花ブロックの窓とし、「意匠性を持たせ、世帯間のコミュニケーションが生まれる場となっています」。

キッチンは前面を左官で仕上げ、つり下がったペンダントライトも相まって印象的なたたずまいに。左側の勝手口はKさんの実家の庭につながる
DATA
家族構成:夫婦、子ども2人
敷地面積:150.20㎡(約45.43坪)
1階床面積:68.94㎡(約20.8坪)
2階床面積:31.66㎡(約9.5坪)
建ぺい率:46.88%(許容60%)
容積率:66.98%(許容200%)
用途地域:指定なし
躯体構造:鉄筋コンクリート造壁式
設計:(同)松田まり子建築設計事務所
構造:(株)SNGデザイン
施工:(株)ナイソ
電気:城間電気工事
水道:(有)海西工業
お問い合わせ
(同)松田まり子建築設計事務所
電話 090(8291)5256
matsudamariko.com
毎週金曜日発行「週刊タイムス住宅新聞」お住まい拝見
第2127号(2026年10月9日発行)より転載