緑と空眺める暮らし 傾斜地生かした3階建て|お住まい拝見

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「山々が広がる風景に一目ぼれ」して購入した傾斜地に、3階建ての住宅を建てた加藤さん(35)。建築事務所勤務の知見を生かし、緑を眺める暮らしを楽しむ。(文/比嘉千賀子・ライター、撮影/比嘉秀明)

加藤さん宅 RC造/自由設計/家族4人

東側からの外観。住宅が建つのは、西側に接する前面道路との高低差が、最大6.6メートルある傾斜地。傾斜を生かし、階段状に並ぶ建物、大開口から眺める緑と空が魅力だ

楽しい「家時間」

玄関を入ると、眼前に広がる山々の緑に心が和む。玄関があるのは、道路に面した3階。「道路側から見ると平屋だと思われるのですが、実は3階建て。傾斜地だからこそ生まれたデザイン。個性のある建物になりました」と、笑う加藤さん。

2階のLDK。山並みが見える東側に大開口を設け、光と風、景色を取り込む。造りつけのベンチは、子どもたちの遊び場になったり、テラスへ出入りする踏み台になったり、多用途に活躍する。キッチンから、フロアすべてに目が届くのも安心

遠方に住む両親の宿泊や将来の暮らしの変化を見据え、3階には和室のゲストルームを設けた。階段を下りた2階にLDKと水回りがあり、1階に寝室と子ども室がまとまる。「子どもたちが部屋に行く前に、必ず顔を合わせられるように」という夫人(33)の希望を反映した間取りだ。

3階の和室。吹き抜けに面した開口は、引き戸を閉じることも可能。テラスの手すりには、サンゴ礁や貝が含まれた「ラグーン」と呼ばれる琉球石灰岩を採用

吹き抜けになったリビングは、天井高約5.3メートル。東側一面の大開口からは、「朝は山の稜線(りょうせん)から昇る朝日、夜は月や星が見えて気持ちがいい」。リビングより高い位置に設けられた2階のテラスへは、窓際に造り付けられたベンチを踏み台にして出入りする。バーベキューやお月見などで活躍中のテラス。「ハンモックをつるして昼寝をするのも良さそう。どうすればより楽しめるか模索中です」。

リビングの吹き抜け。西面の壁沿いに設けたオープン階段が、空間に軽やかさと開放感を添える。上部には換気窓を設け、風の抜け道を確保

理想をカタチに

建築士事務所に勤める加藤さん。見晴らしがよく、適度にクセがある土地を探す中で出合ったのが、中城村の傾斜地だった。事務所代表の伊佐強さんと共に設計。着工後は建設会社でも勤務した経験を生かし、自身で現場監督も担った。

夫婦共働きのため、物干しスペースや収納も充実。「使うところに使うものがしっかり置けるので、家事も片付けも楽」。夫婦互いの両親や親族が来る機会も増え、長男(7)、長女(4)は家中を駆け回って遊ぶ。家で過ごす時間が伸び伸び、一層にぎやかになった。

1階の主寝室。「ベッドから起きあがった目線の先に山々と朝日が映るよう、窓の配置と高さを調整した」と加藤さん。天井が低くなった部分は、クローゼットとして生かす

1階の子ども部屋。将来2部屋に仕切れるよう、部屋の中央に連動引き戸を配置。廊下の突き当たりは寝室

ここがポイント/傾斜生かし景色存分に

敷地は、西側の前面道路との間に、最大6.6メートルの高低差がある傾斜地。設計では、この敷地条件を生かしながら、東側に広がる山々の景色を存分に楽しめる住まいを目指した。建築工房亥の代表・伊佐強さんは、「傾斜地では、安全確保のための地盤調査が重要。しっかり調査した結果、地盤が固く、基礎くいやよう壁工事が不要なことが分かり、造成費を抑えることができた」と振り返る。

建物は3階建て。傾斜に沿って、階段状の配置になっている。眺めのいい東側に大開口を集約し、視線の抜けとプライバシーの確保を両立させた。道路に面した3階には、両親やゲストが宿泊する際の利便性と将来的な暮らしの変化を見据えて、和室を配置。景色をゆったり楽しめるようテラスを設けた。開口部が大きいため、テラス部分の庇は2メートルと深く取り、室内への日差しの入りを和らげている。

LDKと水回りを配置した2階は、キッチンから景色と室内全体を見渡せるよう計画。リビングを吹き抜けにして大開口と開放感を実現。吹き抜け上部にファンと換気窓を設置し、風通しを高めた。

1階は落ち着いて過ごせるプライベート空間。既存地盤を極力崩さない計画としたため、天井高が1.8メートルと低くなる部分が生まれたが「主寝室ではオープンクローゼットとして活用。子ども室は、秘密基地のような遊び心ある空間になりました」と加藤さん。

3階のシューズクローク、2階のパントリーの一角を活用し、将来、ホームエレベーターを据えるスペースも確保。伊佐さんは、「傾斜地でも、備え一つで高齢になっても暮らしやすい住まいは実現できる」と話した。

2階の洗面室。風景と朝日を取り入れられるよう東側に配置。天気を気にせず洗濯できるよう室内干しも備えた

1階の駐車場。奥行き5.6メートルの庇が雨よけとなり、「車の乗り降りも楽にできます」と夫人

DATA

家族構成:夫婦、子ども2人
敷地面積:208.09㎡(約62.9坪)
1階床面積:41.07㎡(約12.4坪)
2階床面積:72.96㎡(約22.1坪)
3階床面積:59.22㎡(約17.9坪)
建ぺい率:51.19%(許容60%)
容積率:69.27%(許容200%)
用途地域:無指定
躯体構造:壁式鉄筋コンクリート造
設計:(株)建築工房 亥 伊佐強、加藤俊介
構造:ライサス一級建築士事務所
施工:(有)仁海建設
電気:(合)屋宜電気工事 我那覇恭斗
水道:(有)ライフ工業 高嶺団

お問い合わせ

(株)建築工房 亥 
電話 098(898)0390
https://www.gai-okinawa.com/


毎週金曜日発行「週刊タイムス住宅新聞」お住まい拝見
第2106号(2026年5月15日発行)より転載