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「暮らしやすく、趣味の菜園も楽しめる平屋」を思い描いた70代のUさん夫妻。室内は全面バリアフリーを採用し、LDKはコンクリートの躯体に木屋根が載り、強固さと温かみのある雰囲気が両立している。南側にある掃き出し窓を開ければ、軒下の縁側と菜園に緩やかにつながる。(編集部/市森知、撮影/フォトアートたかの・高野光)
Uさん宅 混構造/自由設計/家族2人

キッチンから見る。LDKのどこからでも夫人が手塩をかけて育てる菜園が見渡せ、隣接する和室と相まってより開放的。高窓から入る陽光が室内を明るくし、室内の上部にたまる熱気を効果的に掃き出す
菜園とつながるLDK
那覇市の住宅地に建つUさん宅。ピロティを含む3階建ての持ち家に長年暮らしていたが、「夫婦ともに70代で段差が多いことなど生活するのに一苦労でした」とUさん。リフォームを検討したが、費用が思いのほかかさんだため、「思い切って新築することに。赤瓦屋根の平屋、バリアフリーの造り、家庭菜園を存分に楽しめる暮らしを思い描きました」と夫人は話す。

庭に張り出したぬれ縁はLDKの延長となり、菜園・植栽とゆるやかにつながる。内外が一体となった憩いの場になっている
所有していた畑地を敷地として利用し、設計は新聞などで見た「住宅づくりについて、満面の笑顔で話す建築士」に依頼。夫婦は「木とコンクリート、赤瓦を生かしたデザインも住み心地もいい」とうれしそうに話す。
間取りは木屋根が載るLDKが南北に一直線に広がり、西側に居室や洗面室・浴室、物干し場、東側に和室や玄関が配置されている。車いすの利用も想定し、洗面室やトイレ、物干し場に伸びる家事室の横幅などにゆとりを持たせた。家事室には作業台のほか、随所に収納を設けたため、「日頃の家事が楽。作業台では干していた洗濯物をすぐに畳め、それ以外は読書やミシンを楽しんでいます」と夫人。

木屋根が載るLDK。鉄筋コンクリートの壁は白を基調に仕上げ、あらわになった木組みや木家具などが際立つ。肌触りのいい木貼りの床で愛猫も優雅にくつろぐ。天井高は高いところで5.2メートル。南北の高窓から風と陽光を取り込む
また室内は全面バリアフリーを採用し、引き戸はつり上げたことで、「お掃除ロボットが大活躍。愛猫も走り回り、私たちも移動がスムーズ」。足腰や家事の負担を抑える工夫がちりばめれている。


横幅にゆとりを持たせた家事室(左)から物干し場、洗面室・浴室(右)までは回遊性のある造りが特徴的。家事室には作業台などを置き、趣味も楽しめる場になっている
20人集まっても広々
開放的な造りもポイントの一つ。和室はLDKと隣接しており、必要に応じて障子で仕切ることができる。子家族やひ孫が集まれば20人以上になるが、「広々。和室や縁側も一体的に使えて、親族一同でにぎやかな時間を過ごせています」とUさん。

仏壇、床の間をしつらえた和室。障子や木の柱になじむよう、地袋(低い位置にある戸棚)や収納の表面を仕上げた
またエアコンの冷気が苦手なため、窓を開けて過ごすのが日常。「四方に窓があるので、風が抜ける。ソファに腰かけ、風を感じながらくつろいでいます」とUさん。夫人は「私は菜園の手入れに夢中」とうれしそうに話す。
新居で悠々自適なUさん夫妻の暮らしは続く。

和室の天井高はLDKより低く抑え、連続した空間でも高低差を生かして変化を付けている。親族が訪れた際、障子を開ければLDKと一体的に使え、閉めれば和室が客室となる
ここがポイント/移動しやすい空間構成
Uさん宅の設計で特に重要となったのが「高齢でも快適に過ごせる造り」だ。要望だったバリアフリーの採用はもちろんだが、(株)東設計工房の建築士・山城東雄さんは内外や部屋同士の動線を意識した。
敷地は恵まれた環境で、北側に元々あった駐車スペースをそのまま生かした。西側隣地に建つ中層のアパートは西日を防いでくれているため、建物を西側に寄せて東南側を大きく開けて庭と菜園を配置。家庭菜園を楽しみたいという夫人の希望を叶え、東南の涼風を呼び込むこともできた。
「間取りは生活の中心となるLDKを軸線にし南北に広がりを見せ、それを囲むように各部屋を配置。勝手口から直接行き来できるようキッチンは北の駐車場側に設けたことで、駐車場からLDK、LDKから各部屋、そして南側の菜園と移動がスムーズにできるようになっています」と説明する。
またLDKのみ、同社の特徴の一つである混構造を採用。壁は鉄筋コンクリートで造り、木屋根を載せた。「屋根は在来の赤瓦葺きで断熱効果を高め、室内は木造小屋組をそのまま現すことで木の温かみと広がりを感じる空間となる。縦に広がりが生まれ大人数が集まっても閉塞感を感じさせない」と山城さん。
南北の高窓のほか、四方に開口を設けたことで、「風の通り道を確保。軒や庇(ひさし)で窓から差し込む日射を遮り、柔らかい明かりを取り込みました」。
移動のしやすさ、広がり、居心地の良さに加え、赤瓦や琉球石灰岩、花ブロックと沖縄の建材でデザイン性もプラスした。

東側の外観正面は琉球石灰岩を使った門囲いを製作

ダイニング側から玄関を見る。窓から外の植栽へ視線が抜ける
DATA
家族構成:夫婦
敷地面積:441.00㎡(約113.40坪)
1階床面積:115.87㎡(約35.05坪)
建ぺい率:27.69%(許容60%)
容積率:26.28%(許容200%)
用途地域:第一種住居地域
躯体構造:壁式鉄筋コンクリート造
設計:(株)東設計工房 山城東雄、仲村知也、照屋明日香
構造:(株)東設計工房
施工:(有)松都建設
電気:(有)中原電設
水道:(株)共立技研
お問い合わせ
(株)東設計工房
電話 098(917)5000
https://azumas.com
毎週金曜日発行「週刊タイムス住宅新聞」お住まい拝見
第2118号(2026年8月7日発行)より転載