米国在住・出身のNさんと県外出身の夫人。退職後は沖縄で暮らしたいと中古マンションを購入。オンラインで打ち合わせを重ね、開放的で使い勝手のいい住まいを求めてリノベーションした。みんながのびのび過ごせる空間に「大満足」と笑顔を見せる。(文/赤嶺初美・ライター、撮影/比嘉秀明)
Nさん宅 RC造/築20年/全面改修/家族4人

リノベーション前
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リノベーション後。キッチンを囲んでいた壁を取り払い、開放的な空間へと生まれ変わった。金属、木、石、タイルと異なる素材がセンスよく調和している
改築前の要望「キッチン壁を取り払いオープンに。眺望を楽しめ、家族もゲストも気兼ねなく過ごしたい」
時差を超え理想追求
米国と沖縄を行き来するNさん家族。「留守中の防犯や湿気対策を考え、マンション高層階を購入し、リノベーションした」
改修の目玉は、リビングと壁で仕切られていたキッチンを開放したことだ。壁とつり戸棚を取り払い、リビング・ダイニング・キッチンが一続きの空間に生まれ変わった。料理好きという夫人は「キッチンに立ちながら、この開放感と外の眺望を味わえる」と声を弾ませる。

リノベーション前
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リノベーション後。「もともと外国人向けのマンションで天井が高く間口が広かったのも購入の決め手」と夫人。以前のリビングは、キッチン(右側)と個室(左側)との間に壁があったので、その壁を取り払い、広々とした一体感のある明るい空間にした
夫人が掲げたコンセプトは「砂漠風」。ツルツルではなくザラザラの質感、白っぽい砂のような落ち着いた色合いを求め、床や天井、造作家具まで多彩な素材と色を組み合わせた。「絶対に取り入れたかった」という琉球石灰岩の壁も、こだわりの一つだ。
打ち合わせは米国と沖縄をオンラインで結び、重ねた。14時間の時差を超え、夫人は画像や手作りの模型で要望を伝え、施工担当者はサンプルを持ち込んで提案した。「本当にいろんなことに配慮してもらい感激しました」と夫人。

リビング東側の可動間仕切り壁を閉めればゲストルームとして独立可能
照明にもこだわった。「米国では日照時間に合わせ、調光調色をしながら体内時計を整える習慣がある」と夫人。時間帯に応じて自動で色や明るさがコントロールできる照明を取り入れ、沖縄でも米国の自宅と同じ感覚を再現した。
Nさんのお気に入りは、趣味のラジコンを飾る「ホビールーム」と「ゲストルーム」。「リビング奥の可動間仕切り壁を閉めれば独立したゲストルームになるし、各部屋は外から施錠できるので私たちが不在の間も親族が安心して泊まることができて便利」と喜ぶ。
「ここでみんなとゆったり過ごせたら」と2人。今後の沖縄暮らしに期待を寄せた。

リノベ前のキッチンは、リビングと仕切るように壁とつり戸棚があり、暗かった
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リノベーション後。キッチンはガスとIHを併用し、70リットルのオーブンも設置。リノベで明るくなった
リノベのカギ「配管の位置を変えず、断熱と湿気対策、体内時計に配慮した照明でNさんの理想を形に」
内装・照明で一新
リノベーションの最大の難関は配管だった。土足で生活する外国人の文化に合わせたコンクリートに直接配管を埋め込む造りだったため、床組みをすると天井高が犠牲になる。設計を手掛けた徳里政俊さんは「配管の位置は極力動かさず、その制約の中でレイアウトを決めていった」と話す。キッチンやバス、トイレの位置はそのままに向きだけを変え、大判タイルの色や質感、照明の光などでイメージチェンジ。落ち着いた趣のある希望の空間を実現した。

以前はトイレと洗面台とバスルームが一緒だった。「タイルの色も変えたかった」と夫人
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リノベーション後。ゲスト用のトイレとバスルーム。トイレを独立させ、床と壁にダークグレーの大判タイルを使用。落ち着いた印象に
湿気と断熱にも配慮した。壁を解体すると石膏ボードが二重張りになっており、断熱材を新たに入れる代わりに、既存部分を含め三重に増し張りした。「温度差が大きいと壁の中で結露が起きる。その『壁内結露』を防ぎつつ、コストと工期のバランスを取った」と徳里さん。米国暮らしで暑さや湿気に敏感な施主の感覚にも寄り添った。
照明は最大のこだわりだ。折り上げ天井の奥に器具を隠す設計とし、光の反射角度まで計算した。ライティングコーディネーターの嘉手苅麗子さんは「体内時計に合わせて色や明るさが自動で変わる照明があると聞き、福岡で実際に確認して採用した」と振り返る。
食卓の天板には人造石、壁は琉球石灰岩やタイル石材、床にはフロアタイルを組み合わせるなど価格を抑えながら高級感を演出。オンラインでメーカーと3者会議を重ね、要望をすり合わせながら施主に応え続けた。徳里さんは「施主は理想を細かく伝えるだけでなく、施工に関しては専門家としての私たちの意見を尊重してくれた。結果、満足度の高いリノベーションにつながった」と振り返った。

リノベーション前の玄関
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リノベーション後の玄関ポーチ。迫力のある大判タイル石材や間接照明の効果で、高級リゾートホテルのような趣を漂わせる

リビングからトイレまでの動線の途中に新設したゲスト用洗面台。配色で雰囲気をがらりと変え、遊び心を出した
DATA
家族構成:夫婦、子ども2人
躯体構造:鉄筋コンクリート造
築年数:20年
施工面積:150.72㎡(約46坪)
工期:6カ月
設計・施工:株式会社RENOBEES
キッチン:有限会社mov.
お問い合わせ
株式会社RENOBEES
電話 098(988)5128
毎週金曜日発行「週刊タイムス住宅新聞」こだわリノベ
第2117号(2026年7月31日発行)より転載