区分所有法が改正 管理規約の確認を|なるほど!大規模修繕の一歩

住宅に長く住まうためには定期的な手入れが欠かせない。共同住宅の修繕は一戸建て住宅と比べ、規模や設備などから工種や費用面で大きく異なる。共同住宅の大規模修繕のポイントをタイズリフォームの赤嶺雄一郎さんに解説してもらう。今回は合意形成が難しい理由、2026年4月施行の「改正区分所有法」に伴う緩和や注意点について。(文・表/赤嶺雄一郎  株式会社タイズリフォーム代表取締役)


以前、分譲マンションでは区分所有者間の合意形成が難しいことをお伝えしました。特に、修繕積立金の値上げや共用部修繕工事の実施に関する審議の際に多く見られます。

理由=表1=として、①段階積立方式への抵抗②長期修繕計画との乖離③居住者の高齢化や賃貸オーナーの存在④共有資産に対する考えの違い⑤組合活動に対する関心の差⑥修繕工事に対する説明、理解の不足などが考えられます。

表1:合意形成が困難な理由

①で国交省が修繕積立金の均等積立方式を推奨している理由は、値上げに関する将来の住民間のトラブルを防止し、大規模修繕工事に必要な資金不足のリスクを低減するため

二つの決議

分譲マンションは「区分所有法」という法律で最低でも年に1回総会を開催することが義務付けられています。

総会は、区分所有者全員で構成される管理組合の最高意思決定機関です。会計年度終了後の一定期間内に必ず開催されるのが「通常(定期)総会」で、事業報告や決算、次年度の予算案などを決議します。対して、共用部分の修繕工事や規約改正など緊急の重要案件が発生した際に随時開催されるのが「臨時総会」です。

総会決議は、議決に必要な賛成割合によって(A)「普通決議」と(B)「特別決議」の2つに大別されます=表2。普通決議とは日常的な管理運営に関する事項であり、特別決議とは区分所有者の生活や財産に重大な影響を与える事項を対象とします。

表2:普通決議と特別決議の具体例

改正区分所有法は合意形成を容易にすることで、資産であるマンションの持続可能な価値を維持することを目的としている

決議要件を緩和

26年4月1日から改正区分所有法が施行されました。改正の背景には、マンションの「二つの老い(建物の高経年化と居住者の高齢化)」の進行があります。

二つの老いにより全国的に見られる深刻な課題が、建物の老朽化対策や建て替えの合意が得られないこと、所有者不明の空き家が増加し管理不全や再生が進まないことです。

今回の改正は1983年以来の大改正と言われており、特に注目されるのが「総会の決議要件の緩和」。具体的には、普通決議は「出席者」の過半数、特別決議は成立要件を満たした総会において「出席した区分所有者及び議決権」の4分の3以上で可決とみなされます。

形状や効用の著しい変更を伴わない一般的な大規模修繕工事(外壁補修塗装や屋上防水などの維持・修繕)は、区分所有法上の保存行為または管理に該当するため、数千万円を要する高額な工事であっても普通決議となります。対して、エレベーターの増設や大規模なバリアフリー工事など建物外観の大幅な変更などを伴う工事は特別決議となります。

強行規定に注意

区分所有法には条項によって「強行規定」と組合が規約で別段の定めをすることが可能な「任意規定」があります。改正区分所有法では、強行規定に反する組合独自の規約は無効になります。

既に国土交通省は改正区分所有法の施行に先立ち、2025年10月には「マンション標準管理規約」、同年12月には「標準管理委託契約書」も改訂しています。強行規定に違反する旧規約のままでは、法的なトラブルに至る可能性があるため、各管理組合は現規約の確認を行うことをお勧めします。

執筆者プロフィル

あかみね・ゆういちろう/株式会社タイズリフォーム代表。1級建築士、マンション維持修繕技術者、既存住宅状況調査技術者、宅地建物取引士
【株式会社タイズリフォーム】電話 098(975)7815


毎週金曜日発行「週刊タイムス住宅新聞」なるほど!大規模修繕の一歩(4)
第2114号(2026年7月10日発行)より転載