喧噪忘れる花ブロックの家 職住近接型の3階建て|お住まい拝見

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Mさん(52)宅は1階が事務所、2・3階が住まいの職住近接型。車の往来も人通りも激しい道路沿いながら、花ブロックで囲んだ大きなベランダの効果で、通りの喧噪(けんそう)を忘れるほど明るく落ち着いた空間が広がっている。(編集部/徳正美、撮影/比嘉秀明)

Mさん宅 RC造/自由設計/家族4人

白く塗装した花ブロックが青空に映える外観。1階が事務所、2・3階が住宅の3階建て。2階ベランダは片持ち梁で3メートルせり出しているが、透かしのある花ブロックの効果で通りに対する圧迫感が軽減され、すっきり軽やかな印象に仕上がっている

いろいろ使える大空間

敷地は夫人の実家近くの利便性がいい場所に購入、設計は気心の知れた建築士に依頼した。Mさんは「建築士とは一緒に仕事することも多く、つきあいは20年以上。どんな空間を造るかも分かっているから、譲れないところだけ伝えて、あとはお任せ。おかげでいい家になった」と笑う。

クスノキで造った重厚感のある玄関扉を開け、階段を上った2階にあるのがLDKと和室だ。目を引くのは、建物の南東をL字に囲む大窓とベランダ。「軒が深く花ブロックもあるから、日差しが入り過ぎることもないし人目も音も気にならない。風はよく入ってきて畳で横になると最高」とMさんもお気に入りだ。

仕切りがなく広々とした印象の2階LDK。壁や天井はコンクリート打ち放しにし、天井は中央の小梁をなくしたことでスッキリ。木の造作家具やサッシの存在感が際立つ空間となった。幅5.8メートルの大開口からは花ブロック越しの柔らかな光が入る

ベランダは予算調整で小さくする話も出たが、Mさんの希望で3階までの吹き抜けにし、奥行きも3メートルを確保。ベランダだけで約21畳、LDKや和室まで合わせると約47畳の大空間になる。「大きい方がいろいろ活用できるかなと。社員や家族とバーベキューもしたいし、花壇を作るかタイルを敷くか考え中」とイメージを膨らませている。

吹き抜けの2階ベランダ。突き当たりを左に曲がった先にある階段から土足で出入りでき、友人らとバーベキューする際も便利

造作テーブルが主役

もう一つ目を引くのが、コンロと一体になったダイニングテーブルだ。Mさんが選んだ厚さ5センチのクスノキの1枚板で作ってもらったオリジナル。イスも3種類あり、夫人(52)は「気分によって今日はこれに座ろうと変えています」と楽しげだ。「家族に背を向けて片付けするのが嫌で対面式を考えていたけれど、これなら料理をしながらおしゃべりしたりテレビを見たり。食器は食洗機に入れるだけなので楽になりました」

コンロと一体化させたダイニングテーブルがLDKの主役。Mさんこだわりの3種の造作イスと合わせ存在感を放つ

3階は家族それぞれの個室と水回りを配置。静かな環境が好きな長男(17)の部屋は通りから離れた北側に設け、壁には遮音シートも仕込んだ。

「進学する長女(20)が家を出る前に」と始めた家づくり。手続きに時間がかかり希望はかなわなかったが、休みになるとも長女も帰省。「日曜日は夫が料理を担当。お肉を焼いたりサラダを並べたり、大きなテーブルはバイキング形式にもぴったり」と夫人。家族水入らずの時間を楽しむ。

階段踊り場から2階・3階を見る。右手の室内窓は、階段を通る家族の様子が見えるだけでなく、暗くなりがちなダイニングに光を取り込む役割も

ここがポイント/外部空間で光風・視線を制御

45坪の敷地は南側が往来の激しい道路。東は隣家、西は集合住宅、裏手の北側後方は2メートルの高低差があり、空き家を挟んで崖地になっていた。要望は「視線を気にせずくつろげる広いベランダのある住宅と、事務所」。建築士の根路銘安史さん、水上浩一さんは「1階は事務所、2階にLDKと和室、3階に個室と水回りを配し、階層で公私を区分。2階に大きなベランダを設け花ブロックで囲むことで、視線・光風を制御した」と話す。
 
ポイントはベランダの大きさ。奥行き3メートル、高さ6メートル余の吹き抜けにしたことで、通りからの視線や直射日光は遮りつつ柔らかな光を室内に招く。2階は幅5.8メートルの大開口を開ければ内外がつながる大空間に。ベランダは階段から直接行き来も可能だ。15センチと厚めの花ブロックの効果も相まって、2・3階とも天気や人目を気にせず開放的な暮らしができる。

室内も工夫が満載だ。家やLDKの顔となる玄関扉とダイニングテーブルは造作を提案。建具や収納も造作で高さをそろえ、壁や天井は打ち放しですっきり。夫妻好みの、木が際立つ落ち着いた空間を演出した。3階も造作家具で部屋を仕切り「将来、間取りが変更しやすいよう考慮」。家事室は光風がたっぷり入る南東に設け、家事をしながらくつろげるようにした。

1階玄関。家の顔となる重厚感のある木扉の造作は建築士が提案し、Mさんが選んだクスノキで造ってもらった

根路銘さんは「計画を進める中で敷地が急傾斜地崩壊危険区域に指定されていることが判明。土木コンサルを探し建築申請が下りるまでに半年。工事の際も初めに仮設の土留めをするなど周辺への配慮が求められた。指定区域かはハザードマップなどで確認できるので、敷地購入の際は事前に確認すると安心」とアドバイスした。

3階寝室。「窓を開けるとよく風が通る。外の視線も気になりません」とMさん

3階寝室。「窓を開けるとよく風が通る。外の視線も気になりません」とMさん

3階の洗面室と浴室には、夫人が選んだ緑のタイルを貼ってさわやかに

DATA

家族構成:夫婦、子ども2人
敷地面積:140.09㎡(約45.1坪)
1階床面積:57.55㎡(約17.4坪)
2階床面積:59.8㎡(約18.1坪)
3階床面積:66.38㎡(約20.1坪)
健ぺい率:59.43%(許容60%)
容積率:141.27%(許容200%)
用途地域:第二種住居地域
躯体構造:鉄筋コンクリート造
設計:アトリエ ネロ 根路銘、水上
構造:パス建築研究室 新川
施工:(有)匠建 仲与志・高良
電気:松島電気工事(株) 松島
水道:泉水設備(株) 新城
ガス:沖縄ガス(株) 宮城
玄関扉・キッチン天板:まっくる屋工房 伊礼聡、新垣範雄

お問い合わせ

アトリエ ネロ
電話 098(889)0103
https://www.a-nero.com


毎週金曜日発行「週刊タイムス住宅新聞」お住まい拝見
第2125号(2026年9月25日発行)より転載