「底地」相続のリスクと対策|負動産を深掘り

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家族がもめないための「幸せ相続計画」の普及・啓蒙をする(一社)全国幸せ相続計画ネットワークの専門家が、相続で大切なワードを深掘りして解説する。今回は同ネットワークの代表理事・亀島淳一さんが、所有の負担が大きい「負動産」の中でも他人に貸している「底地」のリスクと対策を説明する。「固定資産税は高いのに収益は少なく、売却しづらいケースも多い」と話す。(文/亀島淳一 一般社団法人 全国幸せ相続計画ネットワーク・代表理事)

借地人に強い権利

他人に貸している土地、いわゆる「底地」は地主にとって先祖代々受け継いできた大切な土地であり、「土地を持っている」という安心感があるかもしれません。しかし相続人にとっては、必ずしも喜んで引き継ぎたい財産とは限りません。

底地は、土地の所有権は地主にありますが、借地人に強い権利が認められているため、地主であっても土地を利用することは容易ではありません。長年契約が続いている場合には地代が低く、固定資産税や管理の手間を考えると、十分な収益を生み出していないケースもあります。

さらに、借地契約は長期間にわたるため、地代の改定や契約更新、建物の建て替えなどを巡って借地人との関係が難しくなることもあります。相続によって世代が変われば、それまでの良好な関係が維持できなくなる可能性もあります。

他人に貸している「底地」は、借地人に強い権利が認められているため、地主でも利用するのが容易ではない。固定資産税や管理などの負担が大きく、相続時に「負動産」になりやすい

相続税の納税対策も

そして相続時に大きな問題となるのが、納税資金です。国税庁が8月27日に公表した「2025年度租税滞納状況」によると、相続税の新規発生滞納額は613億円。前年度の約491億円から増加しました。

沖縄県内では25年度の相続税新規滞納額は7億6000万円と、前年度の約19億6700万円からは少なくなったものの、年度末になっても3億1300万円が整理中。つまり、相続税の納税期限内に納められないだけでなく、その後も納税できないケースがあります。

相続税は原則として相続発生から10カ月以内に申告・納税する必要があります。相続財産の中心が土地や建物など、すぐには現金化できない財産の場合、「財産はあるのに、税金を払う現金がない」という事態も起こり得ます。

特に底地は、いざ売却しようとしても買い手が限られ、急いで現金化しようとすれば、評価額を下回る価格での売却を迫られることもあります。

つまり、「評価額は高い。でも収益は少ない。売りにくい。そして相続税を払う現金もない」。これが底地を相続する際の大きなリスクです。

だからこそ、底地を「そのまま次世代に残す」ことだけが相続対策ではありません。場合によっては、生前に底地を整理・売却して現金化し、その資金を収益性や流動性の高い別の資産へ組み替える「資産組替」という考え方もあります。

もちろん、売却時の税負担や相続税への影響、家族の希望などを踏まえて慎重に検討する必要があります。

親世代にとっては「土地を残すこと」が大切でも、子世代にとっては「自由に使えない、収益が少ない、売却しにくい」土地かもしれません。相続対策で大切なのは、財産を「いくらで評価されるか」だけで考えることではありません。「その財産は、次の世代にとって本当に価値があるのか」「納税資金を確保できるのか」「必要なら、より活用しやすい資産に組み替えられないか」まで考えることです。

地主の方は、元気なうちに1度考えてみることが、次世代にとってより良い資産承継につながるのではないでしょうか。


(一社)全国幸せ相続計画ネットワークとは

全国の士業(税理士、司法書士、弁護士)をはじめ、相続の専門家が「相続で家族をもめさせない」「相続で優良財産を減らさない」「子や孫を将来お金で困らせない」ことを目指し、「相続計画」という新しい考え方の普及啓もう活動を行う。「親の不動産(通称:もめナビ)」サイトを監修。
https://www.momenavi.com/

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毎週金曜日発行「週刊タイムス住宅新聞」○○を深掘り(6)
第2124号(2026年9月18日発行)より転載