色鮮やかな花と力強く茂る植物|アートを持ち帰ろう

幼いころの思い出を作品に投影

蜘蛛(くも)の糸を放射線状に画面の中央へ配置する大胆な構図。太くしっかりとした糸の線は、まわりを埋め尽くす亜熱帯の草花と絡み合う。湿った土の匂いと草の香りが漂う作品「やんばるの森」は、森に宿る精霊の神秘性をたたえた作品だ。(文/本村ひろみ)

「やんばるの森」200センチ×140センチ

紅型作家・新垣優香はこの作品について「色鮮やかな花々や力強く茂る植物、舞う蝶(ちょう)や蜘蛛の姿を通して、自然の中でつながり合う命の美しさを表現した。作品を通してやんばるの神秘的なエネルギーと癒やしを感じてほしい」とつづっている。幼いころに親戚が暮らすやんばるで体験した思い出を作品へ投影し、描かれているモチーフには祈りの感情が凝縮されている。

「南国の花々」200センチ×140センチ

「KASANARI」200センチ×140センチ

豊かな色彩で表現

作品「南国の花々」では華やかに咲く花々から明るさとパワーが、重なり合うダリアの花がモチーフの「KASANARI」は、重なりが縁のつながりになり、幸せの象徴として蝶を「重ね染め」している。「Rainbow Rose」は色とりどりの花びらを通して未来への希望と無限の可能性を表現しているそうだ。現在は子どもと過ごす時間が制作へのインスピレーションになっていると話す。

8月にドイツ・モーリッツブルクで開催される芸術祭“Summer of Art”の特別企画「日本芸術の夏」に紅型作家として招待され展示やワークショップに参加する。

豊かな色彩を一瞬にとどめる彼女の作風が、新たな土地を経て今後どのように開花するのか楽しみだ。そして将来の夢だと語ったオオゴマダラの舞う温室で、“リアル新垣優香”の世界を感じてみたい。

「Rainbow Rose」200センチ×140センチ

「黄金の森」200センチ×140センチ

作家近況

新垣優香(紅型作家
ドイツ・モーリッツブルクで開催される「Kunstsommer 2026」で個展(2026年8月)
詳しい情報は
https://arakakiyuuka.com
https://www.instagram.com/arakakiyuuka/

執筆者プロフィル

もとむら・ひろみ/那覇市出身。清泉女子大学卒業。沖縄県立芸術大学造形芸術研究科修了。ラジオ沖縄「GO! GO! ダウンタウン国際通り発」「We love yuming2」「還暦ラジオ」でパーソナリティーを務める


毎週金曜日発行「週刊タイムス住宅新聞」アートを持ち帰ろう(62)
第2112号(2026年6月26日発行)より転載