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「長期優良住宅」と「GX ZEH(ゼッチ)(2027年4月に認証開始予定)」の基準をクリアしているTさん宅。省エネ性や耐震性、劣化対策と各項目で高水準を維持し、回遊性のある動線など暮らしやすい造りが特徴だ。人も猫も過ごしやすく、木や自然素材を生かした空間が広がっている。(編集部/市森知、撮影/比嘉秀明)
Tさん宅 木造/自由設計/家族3人

柱と梁(はり)があらわになったLDK。木の構造体がデザインにも生かされ、中央に向かって天井が高くなっている。天井は紙製の網代(あじろ)で仕上げたり、キッチン前面のカウンターや収納棚は県産木で造作したりと自然素材をふんだんに使用。住宅性能は高気密・高断熱仕様とし、居住性を高めている
機能的な“8の字”の動線
子どもも猫も健やかに暮らせる住宅を目指し、家造りに奔走したTさん夫妻。「居住性やデザイン性、年を重ねても使いやすい動線など調和の取れた家になりました」と笑いながら口をそろえた。建築士の自邸の見学会などに足を運び、思い描いた高性能でランニングコストが抑えられる木造住宅で過ごしている。
住宅は平屋に直方体の2階建てがくっついた形。1階はLDKや夫婦の寝室、サニタリーを含む水回りを、2階は子どもの居室をまとめた。
LDKは構造の柱と梁によって空間を4エリアに緩やかに分割。一角はワークスペースになっており、「家族の一体感を保ちながら、各エリアでリラックスできます」とTさん。庭に面する掃き出し窓をはじめ、各窓は複層ガラスとアルミ樹脂サッシを組み合わせている。「帰宅しても室内はサラリとした感じ。インテリアも木の素材感を生かした上質な大空間になりました」とも話した。

LDKは柱・梁により、一つの空間を奇麗にゾーニング。キッチンから時計回りにダイニング、リビング、ワークスペースとなっている。床やカウンターテーブルなど造作家具にもふんだいに木を使い、「木の香りとぬくもりで満たされる空間にしました」と建築士の岸田さん
また、1階は8の字に回遊できる動線となっており、玄関からの表動線(LDK)と裏動線(サニタリー・水回り)を結ぶ回遊ルート。夫人は「非常に移動しやすく、高齢になっても1階だけで生活が完結。長く安心して暮らせる」と話した。


(左)キッチンに隣接するサニタリー。食糧や衣類の収納スペース、物干し場、洗面台などを一つにまとめ、使い勝手抜群
(右)玄関からの入り口とは別に開口をキッチン奥に設け、来客用の動線とTさん一家だけの動線が奇麗に分けられている
月の電気代 大幅に減
高性能な住宅を選んだ理由の一つが月々の電気代だった。以前暮らしていたアパートはエアコンを稼働させても室内が冷えにくく、「月額の電気代が2~3万円ほど」と夫妻は振り返る。太陽光パネルや蓄電池などを導入し、新居の電気代は夜間の使用分だけとなり、「数千円程度に大幅に下がりました。月々の負担が減ったのもうれしいし、『何かの間違いじゃないか』と驚きました」。
性能のほか、キャットウオークとしても登れる棚をワークスペースに設け、釣ってきた魚をさばけるよう外水栓などを配置した。夫妻は「引っ越す前の悩みも解消され、想定以上に満足いく住まいとなりました」と話した。


左官仕上げの飾り棚が印象的な玄関。釣り好きのTさんのために友人が描いた絵が飾られ、「魚」の字で海中が表現されている。棚背面のサニタリーなど、1階は回遊できる機能的な動線となっている
ここがポイント/総コストを最小限に
Tさん宅の設計・施工を手がけたハルモデザイン(株)の岸田匡史さんは「家は建ててからがスタート。居心地はもちろん、光熱費やメンテナンスなど住み手の負担を最小限にすることが大切」と説明する。Tさん宅は同社の環境と家計にやさしい住まい「SOLA HOUSE」のシリーズとして補助金を利用。建築費だけでなく、自然素材を生かし、光熱費や維持費などトータルコストを設計段階からシミュレーションし、計画した。
住宅性能は国が定める「GX ZEH」と「長期優良住宅」、二つの住宅基準をクリア。断熱性・耐震性・省エネ性・劣化対策などいずれも高水準を誇る。特に断熱性は現行の水準(断熱等級4)を大幅に上回る「断熱等級6」とし、太陽光発電と非常時自立コンセントなども導入。「省エネ性の基準は今後引き上げられるため、第三者が評価する制度『BELS』で客観的に示した上で、ほかの要望を反映していきました」。
また、LDKは柱と梁(はり)をあらわし、構造体をデザインに取り入れた。「梁がLDKを田の字にゾーニングし、柱が空間を仕切る。家族が憩う大空間が間延びせず、それぞれの場所で過ごせるようになっています」。
仕上げにもこだわり、LDKの天井は紙製の網代天井としたほか、ゆとりのある玄関には左官仕上げの飾り棚をしつらえた。キッチンカウンターやワークスペースの机はセンダンなど県産の一枚板で造作。岸田さんは「家具も含め、木の家の魅力がいっぱい詰まった住まいになっています」と話した。

LDKの一角に設けた掘りごたつ式のワークスペース。空間を共有していても、夫人が読書を楽しんだり、Tさんがデスクワークをしたりと使い方はさまざまだ


2階ホールには洗面台(左)が設けられ、子ども室(上)から朝や就寝前の支度をスムーズに行える。夫人好みの色・模様のタイルがアクセントになっている

LDKの南東側には庭が隣接する。階高は抑えつつも、切妻屋根で室内は縦空間の広がりも生んでいる

白の花ブロック塀で囲まれたTさん宅。外壁や軒天など部位ごとに仕上げを変え、屋根に載る太陽光パネルは建物のデザインになじむよう工夫した
設計データ
家族構成:夫婦、子ども1人
敷地面積:253.41㎡(約77坪)
1階床面積:72.67㎡(約22坪)
2階床面積:26.49㎡(約8坪)
建ぺい率:32.33%(許容70%)
容積率:39.14%(許容200%)
構造:木造
用途地域:第一種低層住居専用地域
設計・施工:ハルモデザイン(株) 岸田匡史
構造計算:ハルモデザイン(株)
電気:徳優電設
水道:夢設備
お問い合わせ
ハルモデザイン(株)
電話 098(996)4810
https://okinawamokuzou.com
毎週金曜日発行「週刊タイムス住宅新聞」お住まい拝見
第2131号(2026年11月6日発行)より転載