応援!おきなわ技能五輪・アビリンピック2018|とび[3]|タイムス住宅新聞社ウェブマガジン

沖縄の住宅建築情報と建築に関わる企業様をご紹介

タイムス住宅新聞ウェブマガジン

スペシャルコンテンツ

特集・企画

2018年7月27日更新

応援!おきなわ技能五輪・アビリンピック2018|とび[3]

11月に沖縄で初開催される「おきなわ技能五輪・アビリンピック2018」。建設・建築工事の作業用足場を組み立てるとび競技に、4度目の出場をする下地良太さん(21)はとび一家の末っ子として育った。「自分のペースで金賞を目指す。父のような安心感を与える職人になりたい」と力を込める。その父・下地良一代表(49)は「工事に欠かせないとびは、人の命に直結する仕事」と話す。

安心感ある足場組む
下地良太さん(21)/良組



技能五輪挑戦の意気込み
前回は敢闘賞だったので、今回は本気で金賞を狙う。周りを気にせず、自分のペースで頑張る!

下地良太さんに聞きました
■とび職についたきっかけは?

父と母の影響です。2人ともとび職人で、物心がついたときには現場で遊んでいました。その際に見た、高いところを軽やかに動き回る両親の姿がかっこよくて、憧れるようになりました。保育園の頃には「将来はとびになる」と決めていたと思います。
高校生になると、学校が休みの日に、父が営む会社でとびとしてアルバイト。体力に自信はあったのですが、材料があまりに重たくてびっくりしたことを覚えています。
例えば長さ5メートルのパイプ(単管)は約15キロもあり、バランスは取りにくいし、肩は痛いし、夏場はやけどしそうなくらい熱くもなります。そんなとき、ふと母を見ると、パイプを軽々と運び、作業をしていました。母の強さを感じた瞬間でしたね(笑)。
姉や兄、親戚も同じ職場でとびとして働く、とび一家の中で育ってきたので、自分も当然のようにとびになりました。


■仕事のやりがいは?
足場を解体した後のスッキリ感が好きです。足場にいるときはあまり感じないけれど、建物を囲む足場が取れて、きれいな建物が現れると「やり切った」という感覚になります。モノレールの延伸工事にも関わっているので、開通したときに乗るのも楽しみですね。

■技能五輪に向けて意気込みを
前回は敢闘賞だったので、今年は本気で金賞を目指したい。
18歳で初めて出てから4回目の出場ですが、屋外競技ということもあり、これまでは慣れない寒さも課題でした。今回は地元開催でプレッシャーもあるけれど、材料に霜が付くことはないはず。熱中症に気を付けながら、周りを気にせず、自分のペースで取り組むつもりです。

■どんな技能士になりたい?
仕事が早くてきれいで、安心感を与えられる、父のようなとびになりたいです。高い場所で作業する分、安心感は特に大事。そのためにも常に安全を意識して、他の職人から受けた指摘は改善していく。そして、誰もが認める職人になれればと思います。




命預かる裏方
下地良一さん(49)/良組



会社代表を務める父から
良太には金賞を目指しながら、県外とのつながりも作ってほしい。チャンスと捉えて頑張れ!

下地良一さんに聞きました
■とび業界の現状

ホテルやショッピングセンターなど大型物件の建設が続いており、どこも人手不足。
そんな中、最近は外国人が活躍してくれています。実際、わが社でも、20人いる職人のうち、11人がベトナム人ですし、今年中にはさらに5人増える予定です。
また、社会保険に加入できるなど、安定して働けるようにする会社も増えてきています。若手を育てるためにも、職場環境がどんどん良くなっている印象があります。
さらに材料自体も進化しています。以前に比べて軽量化されただけでなく、部材を差し込むだけでロックがかかるなど、少人数でも効率的に作業できます。

■仕事の面白さ・厳しさ
とびが組み立てる足場は、建設・建築作業を安全かつ円滑に進めるために必要不可欠。ですが、最終的には解体するため、形には残らない仕事。縁の下の力持ちとも言えるでしょう。
建物だけでなく、道路や橋など携わる工事の幅が広いのも魅力。場所により条件が異なるため、例えば橋を造るときには崖や海の中、空中につり下げる形で足場を組むこともあります。高い場所からの眺めもとても気持ちよく、楽しみの一つです。
一方で、体力が必要な仕事であるとともに、人の命を預かっているという責任もあります。真っすぐきれいな足場を組むためにも、下の基礎部分は特に気を使います。作業前にミーティングしたり、材料に不具合があればすぐに排除するなど、安全面への配慮は欠かせません。

■技能五輪に出場する良太さんに、激励の一言を!
開催地ということで緊張すると思うが、視野を広げるチャンスと捉えて頑張ってほしい。
昨年はタイムが縮まるたびに、自信とやる気が出たようで敢闘賞に輝きました。
今年は金賞を狙えるよう、われわれも良太をバックアップしていきます。
技能五輪は、仲間を作る場でもあります。海により孤立しがちな沖縄において、県外とのつながりは今後仕事をしていく上でも大事。この経験を生かして、立派な職人になってもらいたいですね。




大会マスコットキャラ 「ワジャサー」
大会マスコットキャラ 「ワジャサー」


「おきなわ技能五輪・アビリンピック2018」

ことし11月2日(金)~5日(月)に「おきなわ技能五輪・アビリンピック2018」が開かれる。
技能五輪とは、23歳以下の若手技能者が全国から集まり、技を競う大会。とびや配管、ウェブデザイン、洋菓子製造など42職種を予定。また、アビリンピックとは、全国障がい者技能競技大会で、15歳以上の障がいのある方が技能を競い合う。表計算や洋裁、機械CADなど22種目を予定。
いずれも年1回開催されており、沖縄での開催は初めて。競技は那覇市民体育館や沖縄コンベンションセンターなど各地で開かれ、無料で観覧できる。とびは県総合運動公園で開催予定。詳細は「おきなわ技能五輪・アビリンピック2018」のホームページ(http://www.okinawa2018.jp)でチェックできる。

 


毎週金曜日発行・週刊タイムス住宅新聞
第1699号・2018年7月27日紙面から掲載

特集・企画

タグから記事を探す

この連載の記事

この記事のキュレーター

スタッフ
週刊タイムス住宅新聞編集部

これまでに書いた記事:2122

沖縄の住宅、建築、住まいのことを発信します。

TOPへ戻る