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2021年12月17日更新

[沖縄・お住まい拝見]子も風も家中巡る|(株)アトリエセグエ

[外閉じてテラスへ開く]
住宅密集地にあるHさん宅。家の中央にテラス、それを囲うように部屋を配したことで「周囲の視線を気にせず暮らせる」とHさん(41)。子どもたちだけでなく風も家中を巡る、開放的な平屋だ。

家族が集まるLDK。中庭と一体になり、明るく開放感たっぷり。子どもたちも風もテラスと室内を駆け巡る
家族が集まるLDK。中庭と一体になり、明るく開放感たっぷり。子どもたちも風もテラスと室内を駆け巡る


L字テーブルに集う

Hさん宅
 RC造/自由設計/家族5人 

Hさん宅は約4坪のテラスを家の中央に設けた造り。それを囲うようにLDKと寝室、水回りが配される。「周りの建物が近いのに視線は気にならず、カーテンは寝室のみで済んでいます」とHさん。約6メートルの大開口がテラスとLDKをつなぎ、白壁に反射した光が室内を照らす。

寝室の掃き出し窓を開け、次男(小2)、長女(4)がテラスを通ってLDKに走ってくる。次はキッチン脇を通って子ども室へと、かけっこを繰り返す。夫人は「いつもこんな感じ。家の中でも遊べて安心」とほほ笑む。

「それにすごく風通しもいいんですよ」。玄関のジャロジー窓を開けるとテラスに向かって風が巡るといい、「夏場も涼しく過ごせました」。

テラスの次に目を引きつけるのが、L字の大きなダイニングテーブル。夫人の希望で造り付けてもらった。「みんながここに集まる。食事以外にも、仕事や勉強スペースに使える広さで重宝。食事を出すのもスムーズ」と夫人。


子ども自身で服収納

夫婦共働きだと家事はラクしたいもの。「長男(小5)も次男も自分の服を収めてくれて助かる」と夫人が話すのが、洗面室に設けた収納。乾いた衣類を隣の室内物干し場から自分専用の収納棚に収めるという。「棚の中を見るだけで片付けチェックできるのもありがたいです」

夫人の実家近くで10年ほど土地を探した。「たまたま散歩中に見つけた土地を購入。せっかく造るのだから、とことん思い通りにしようと思った」とHさん。気兼ねなく話せる高校の同級生だった建築士に依頼した。プライバシーの確保や家事のしやすさに加えて、Hさんの趣味であるバイクのメンテナンスや生き物を飼育できる部屋(メンテナンス室)も造ってもらった。

設計時、次男が建築士に渡した「僕の住みたい家」には満天の星が描かれていた。「テラスでは星空が見え、夏にはピクニックもして、子どもたちも楽しく過ごしている」と夫婦はほほ笑んだ。

キッチンからLDを見る。右手にあるカウンターは子どもたちの勉強スペースとして造り付けた。その奥に見える紫の窓からは、バイクのメンテナンス室にある水槽が見えるようになっている
キッチンからLDを見る。右手にあるカウンターは子どもたちの勉強スペースとして造り付けた。その奥に見える紫の窓からは、バイクのメンテナンス室にある水槽が見えるようになっている

外観。窓は小さくして周囲の視線、近くにある水路からの臭いがなるべく室内に入らないよう配慮した
外観。窓は小さくして周囲の視線、近くにある水路からの臭いがなるべく室内に入らないよう配慮した


L字のダイニングテーブルは、キッチンを囲うように配置して、夫人のテリトリー感を出した。テラスとの間は出窓のようになっており、ちょっとした小物を飾るスペースに

設計時に次男が建築士にプレゼントした「僕が住みたい家」
設計時に次男が建築士にプレゼントした「僕が住みたい家」
 

ここがポイント
視線・臭いをカット

Hさん宅の敷地は2~3階建ての建物に囲まれ、近くの水路からの臭いが気になることもあったという。設計したアトリエセグエの比嘉俊一さんは「さらに、地盤が緩いことも調査で分かり、杭(くい)を打たなくて済む平屋に。プライバシー確保や臭いを防ぐため、自然と内に開いたプランになった」と話す。

LDKを中心に子育てしたいという夫婦の要望を受け、「LDKとテラスの段差を抑えて一体にすることで、視覚的な広がりを持たせた」。テラスの窓は3面とも1メートル弱と深めのひさしがあり、強い日差しに加えて、高い建物からの視線を遮るのに一役買っている。

公私は動線で分けており、玄関正面にLDK、玄関から左へ曲がると寝室と子ども部屋がある。LDKへの動線上には、学校の荷物を置く収納棚、勉強スペースが並んでおり、子どもたち自身で荷物を片付けしやすい配置になっている。

印象的なL字のダイニングテーブルは「キッチンを囲うようにして夫人のテリトリーを明確化。調理に集中することも、リビングで遊ぶ子どもたちを見守ることもできる。テリトリー内にいても家族との時間を共有できる形になった」と比嘉さん。

水回りは東側にまとめて洗濯動線をコンパクトに。「外に干すと水路の臭いがうつらないか心配」と夫婦は室内物干し場を希望。その隣に洗面脱衣室を設けて、子どもたちの衣類収納と身支度が1カ所で完結するようにしている。「収納の使い方もそうだが、家族がライフスタイルに合わせて楽しく使いこなしている家だと思う」と比嘉さんは話した。


約6メートル幅の開口でつながるLDKとテラス。「白壁に日差しが反射して思った以上に明るい」とHさん。外から視線が入らないのでカーテンいらず
約6メートル幅の開口でつながるLDKとテラス。「白壁に日差しが反射して思った以上に明るい」とHさん。外から視線が入らないのでカーテンいらず


寝室からテラス・LDKを見る。テラス床材は、「メンテナンスできるか不安」という夫婦のため、「彩木(あやぎ)ウッドデッキ」という人工材を使用。「断熱材が入っていて熱に強く、メンテナンスもラク」と建築士
寝室からテラス・LDKを見る。テラス床材は、「メンテナンスできるか不安」という夫婦のため、「彩木(あやぎ)ウッドデッキ」という人工材を使用。「断熱材が入っていて熱に強く、メンテナンスもラク」と建築士
 

洗面脱衣室はトップライトで明かり取り。写真背後に収納棚があり、子どもたちの身支度はここで完結するようになっている

洗面脱衣室はトップライトで明かり取り。写真背後に収納棚があり、子どもたちの身支度はここで完結するようになっている
 

玄関。正面にLDK、左に曲がると個室があり、公私を動線で分けている。右の収納棚は子どもたちの学校の荷物を収めている

玄関。正面にLDK、左に曲がると個室があり、公私を動線で分けている。右の収納棚は子どもたちの学校の荷物を収めている

子ども室。寝室兼遊び場として使用。奥に見えるデスクは、夫人の仕事スペース。将来的に2室に分けられるようにしている
子ども室。寝室兼遊び場として使用。奥に見えるデスクは、夫人の仕事スペース。将来的に2室に分けられるようにしている


[DATA]
家族構成:夫婦、子ども3人
敷地面積:225.56平方メートル(約68.2坪)
1階床面積:92.67平方メートル(約28坪)
建ぺい率:48.45%(許容50%)
容積率:48.45%(許容100%)
用途地域:第一種低層住居専用地域
躯体構造:壁式鉄筋コンクリート造
設計:(株)アトリエセグエ 比嘉俊一
構造:(株)黒岩構造設計事ム所
施工:(有)大繁建設
電気:(有)大謝名電工
水道:システム企画(有)
キッチン:モブ

問い合わせ
(株)アトリエセグエ
  電話090・8406・8504
 https://seguearchitects.jp/


撮影/比嘉秀明 取材/川本莉菜子
毎週金曜日発行・週刊タイムス住宅新聞
第1876号・2021年12月17日紙面から掲載

この記事のキュレーター

スタッフ
川本莉菜子

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編集者
好奇心が行動源。まち歩きで面白いことを発見した時に興奮し、脇目振らずに追いかけて迷子になること多し。人が住む・暮らす場所にある歴史、知恵、繋がりの面白さを見つけて発信していきたいです。よく県外出身かと聞かれますが、生粋のウチナーンチュです。

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