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2016年1月8日更新

段差解消 広さも確保|快適リフォーム[10]

今回は介護リフォームに焦点を当て、排せつケアの軸となるトイレと、外出時の負担に関わる外回りを中心にポイントを紹介する。㈲ラムハウジングの川上晃奈さんは「段差解消には、福祉機器を活用するのも手」と話す。

トイレ、外回りの 介護リフォーム



福祉機器も上手に活用

介護リフォームで重視したいのはまず、事故を予防すること。介護を受ける人が自分でできる事を自力で行え、介助者も使いやすいことだ。ポイントは、家の中の段差をなくす、手すりを設置する、扉を引き戸に変えるなど。介護保険を利用した改修も可能だ=下表参照。

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介護保険を利用した住宅改修

介護保険では、生活環境を整えるための小規模な住宅改修に対して、改修費の支給が受けられる。対象工事や利用限度額は次の通りだ。

【対象となる工事】
□ 手すりの取り付け
□ 段差の解消
□ 滑り防止、移動の円滑化のための床、通路面の材料変更
□ 引き戸などでの扉の取り換え
□ 洋式便器などへの便器の取り換え
□ その他これらの各工事に付帯して必 要な工事

※工事の前に、保険給付の対象となるかどうか、ケアマネージャーか市町村の担当窓口に相談を


【利用限度額】上限 20万円
要介護度に関係なく、20万円まで支給される(原則1回限り)。利用限度額の範囲内で、掛かった費用の1割(一定以上の所得がある場合は2割)が自己負担になる。

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介護を受ける人の自尊心に大きく影響を与えるのが排せつのケア。リフォームでは、トイレは居室からの移動距離がなるべく短く、単純な動線になるような配置を考えたい。出入り口はフラットで、間口は75㌢以上が理想だ。

川上さんは、「車いすや介助者が一緒に入ることができる広さを確保することも大切です。便器の前方なら80㌢はほしいところ」と話す。手すりは、トイレの壁幅いっぱいに設けておくと、転倒しそうになったときもつかみやすいという。



トイレのリフォーム事例 寝室に近く、車いすでの出入りも考慮してリフォームしたトイレ。引き戸になった出入り口の奥に見える部屋が寝室になっているため、移動距離が短い。床はフラットな板張りで、便器回りにも十分なスペースが設けられている。「車いすから便器へ移る際の姿勢は人それぞれ違います。スペースがあれば、どんな体勢での移乗にも対応しやすい」と川上さん。
手すりは、使う動作、箇所によって形や寸法、設置位置を十分に検討し、シミュレーションして取り付ける。写真壁側の縦手すりは立ち上がり動作、横手すりは座位の保持用。便座手前の白い手すりは、移乗や移動に使う跳ね上げ手すり。  写真提供/ラムハウジング




外出しやすい工夫を


屋外との段差解消も、本人の外出意欲や介助者の負担軽減といった面から重要だ。
車いすでの出入りというとスロープを思い浮かべるが、川上さんは、家庭用コンセントから電源が取れる段差解消機=左②=を勧める。「掃き出し窓に設置でき、土間が平らなら設置工事も簡単。福祉機器としてレンタルでき、必要に応じて設置、撤去できるのも利点です」。

段差解消によく使われる鉄板製のスロープ=下①=よりレンタル料は割高だが、「介護する側の体力的な負担が軽減できるので、介護を受ける側の気兼ねも減るでしょう」。

福祉機器も上手に活用して、安心・安全に過ごせる環境を整えたい。


外回りの段差解消は 福祉用具、機器のレンタルで

①スロープ

レンタル料が安価な鉄板製のスロープ。車いすを押しやすい勾配にするには距離が必要だが、長いとたわみも出やすい。


②段差解消機

掃き出し窓に段差解消機を設置した例。昇降ボタンを押せば機械が上下して、床や地面から段差なく車イスを乗せ下ろしできる。事故がないよう、使う人はしっかり操作を覚え、安全確認を。




この人に聞きました
かわかみ・あきな
㈲ラムハウジング福祉用具専門相談員。福祉住環境コーディネーター、二級建築士。障がい者や高齢者の自立を助けるケアリフォームを手掛ける
 

37畳の道場を区分け|快適リフォーム[11]


居室移動し伸び伸び|快適リフォーム[9]

 

編 集/比嘉千賀子
毎週金曜日発行・週刊タイムス住宅新聞「快適リフォーム<10>」第1566号・2016年1月8日紙面から掲載
 

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住まいと暮らしの情報紙「タイムス住宅新聞」元担当記者。猫好き、ロック好きな1児の母。「住まいから笑顔とHAPPYを広げたい!」主婦&母親としての視点を大切にしながら、沖縄での快適な住まいづくり、楽しい暮らしをサポートする情報を取材・発信しています。

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